2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640277
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
林井 久樹 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50180980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮林 謙吉 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40273833)
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Keywords | タウ粒子 / CP非保存 / e^+e^-衝突 |
Research Abstract |
本研究の課題は、高エネルギー加速器機構・素粒子原子核研究所(KEK)におけるBファクトリー共同実験(BELLE実験)で多量に生成されるタウ粒子を用いて、タウ粒子の崩壊におけるCP非保存現象の探索である。5年以上の歳月をかけて建設に取り組んできた大型の検出器(BELLE)は1999年夏に完成し、本番の実験データの収集を1999年10月から開始した。データ収集は非常にスムーズに進んでおり、2000年12月までに積分ルミノシティにして11/fbのデータを蓄積している。これは、10^7個のτ^+τ^-対の生成に相当する。この量は米国のCLEO検出器で10年以上かけて蓄積した量より2倍以上多い値である。 タウ粒子の崩壊におけるDP非保存現象の研究はまずもっとも崩壊率の大きいτ^±→π^±π^0ν_τの崩壊モードについて解析を進めている。具体的にはタウ粒子の崩壊角分布が正電荷のタウ粒子の場合と負電荷のタウ粒子からの場合とで違いがあるか否か検証することが仕事である。τ^±→π^±π^0ν_τの崩壊事象は非常にきれいに識別され、この崩壊におけるπ^±π^0の不変質量分布には非常にきれいなρ共鳴の信号が観測されている。2000年7月までのデータ(6.5/fb)で、2.6×10^5のπ^±π^0ν_τ事象が集まった。このデータを持ちいて解析した結果、この崩壊モードにおけるCP非対称性は90%の信頼性で0.9%以下であるという結果を得た。 この結果は、2000年夏に大阪で開催された高エネルギー国際会議へのcontribution paperとなっている。また、2000年8月のアメリカ物理学会および同年9月カナダのビクトリアで開催されたタウ2000国際会議で結果を口頭発表した。 今後よりデータをためて感度をあげ論文としてまとめること、および他の崩壊モードτ→Kν_τ等で同様の解析を進める計画である。
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Research Products
(1 results)