2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640277
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
林井 久樹 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50180980)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮林 謙吉 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40273833)
|
Keywords | タウ粒子 / CP非保存 / ミューオン異常磁気能率 |
Research Abstract |
本研究の課題は、高エネルギー加速器機構・素粒子原子核研究所(KEK)におけるBファクトリー共同実験(BELLE実験)で多量に生成されるタウ粒子用いて、タウ粒子の崩壊におけるCP非保存現象の探索である。同時にタウ粒子の崩壊分岐比の精密測定も平衡して進めている。1999年10月から開始したBELLE実験は非常にスムーズに進んでおり、2002年1月までに、積分ルミノシティにして35/fbのデータを蓄積している。これは、3×10^7個のτ^+τ^-対の生成に相当する。この量は米国のCLEO検出器で10年以上かけて蓄積した量より10倍以上多い値である。 タウ粒子の崩壊の研究はまずもっとも崩壊率の大きいτ→hπ^0ν_τの崩壊モードについて解析を進めている。ここで、hはハドロン、すなわちパイ中間子あるいはK中間子を意味している。τ^±→π^±π^0ν_τの崩壊事象は非常にきれいに識別され、この崩壊におけるπ^±π^0の不変質量分布には非常にきれいなρ共鳴の信号が観測されている。これまでの成果としては、τ→hπ^0ν_τ崩壊の崩壊分岐比の精密測定、および同じ崩壊モードでのCP非保存現象の探索をあげることができる。得られた崩壊分岐比は、B_<hpi>^0=(25.48±0.01±0.53)%で、測定精度は(ΔB)/(B)=±2%となっている。この崩壊分岐比の精密測定は、ミュー粒子の異常磁気モーメントの理論値の精度を上げる上で非常に重要な量となっている。一方、CP非保存現象の探索では、タウ粒子の崩壊角分布が正電荷のタウ粒子の場と負電荷のタウ粒子からの場合とで違いがあるか否か検証することが仕事である。2000年に収集したデータを用いた解析では、この崩壊モードにおけるCP非対称性は90%の信頼性で0.9%以下であるという結果を得ている。 今後よりデータをためて感度をあげ論文としてまとめること、および他の崩壊モードτ→Kπ^0ν_τ等で同様の解析を進める計画である。
|
Research Products
(1 results)