2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640287
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
牲川 章 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90047358)
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Keywords | quark-gluon plasma / QCD / hot QCD / nonequi librium QCD / thermal field theory / gap equation / Boltzmann equation |
Research Abstract |
クオーク・グルーオンプラズマは、クォーク、グルーオン、及びFPゴーストより成る系を記述する量子色力学(QCD)に支配される系である。QCDがもつ性質の一つであるカイラル相転移を模した有効理論の一つにO(N)線形シグマ模型があり、クォークの束縛状態であるパイ中間子とシグマ中間子が対称性の破れている相として記述される。この論文では、カイラル対称性の破れた相にある非平衡O(N)シグマ系を扱う摂動論の枠組みを第1原理から構成した。これにより、この系で生起する任意の過程の反応率の計算が可能になる。この枠組はギャップ方程式とボルツマン方程式を随伴した形で定式化されている。ギャップ方程式は、系の中でのパイ中間子、及びシグマ中間子の有効質量を決定するもので、ボルツマン方程式はパイ中間子、及びシグマ中間子の粒子数分布関数の時間・空間発展を記述するものである。この枠組みにより種々の反応率が計算され、それをもとにボルツマン方程式を解くことにより、粒子数分布の発展が決定されることにより、系の相転移の進行を理論的に追跡することが可能となる。 クォーク・グルーオンプラズマを直接扱うにはQCDに支配される、クォーク、グルーオン、及びFPゴーストより成る非平衡系を扱う摂動論的枠組みを構築する必要がある。より具体的には、各粒子の非平衡伝播子を構成し、それらに随伴するボルツマン方程式を確定する必要がある。このような過程を経て摂動論の枠組みを既に構築しており、論文は現在投稿中である。上述の、非平衡O(N)線形シグマ系の場合と同様に、この枠組は、クォーク・グルーオンプラズマの時間空間発展を記述する基本的な枠組みとなる。
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Research Products
(1 results)