2000 Fiscal Year Annual Research Report
超薄膜銀蒸着シリコン(111)表面への活性ガスの吸着脱離
Project/Area Number |
12640313
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
服部 賢 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (00222216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 文彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (60324977)
武田 さくら 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (30314537)
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Keywords | 昇温脱離法 / 走査トンネル顕微鏡 / オージェ元素分析 / シリコン(111) / 一酸化炭素 / 吸着脱離 |
Research Abstract |
平成12年度は、購入した高感度四重極質量分析器を既存の走査トンネル顕微鏡システムに設置し、手初めにまだ銀が蒸着されていない、室温におけるシリコン(111)7×7清浄表面に、一酸化炭素分子を吸着させた場合の昇温脱離スペクトルを測定した。その結果、約800℃でC、O、COが主成分として脱離することが分かった。同時に測定したオージェ元素分析の試料バイアス電圧依存性の結果から、この表面には中性分子ではなく、一酸化炭素分子イオンが吸着することが判明した。また、その表面の走査トンネル顕微鏡観察から、COイオンはいわゆるDASモデルにおける積層欠陥のない半ユニットセルのセンターアドアトムに選択的に反応しやすいことが分かった。また、CO分子イオンは、C原子とO原子に解離して互いに近傍のアドアトムサイトに吸着することを示す結果も得られた。この解離吸着は他のグループのオージェ測定からも同様な指摘がなされている。以上の結果は、昇温脱離の際、別サイトにあるCとOは、独立に脱離する過程のほかに再結合してCOとして脱離する可能性があることを示唆している。 一般に吸着脱離反応は100K程度の低温領域から測定することが、室温領域での触媒反応を調べる上で重要となる。本研究では、室温領域での反応も対象としているため、従って、上記測定の他に本年度後期では、低温領域からの吸着脱離反応が測定できるように、試料冷却機構の設計・製作も行った。次年度はこの冷却機構を用いて低温領域からの吸着脱離反応を超薄膜銀蒸着表面について調べる予定である。
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