2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640326
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
須田 淳一郎 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (40226577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 和彦 佐世保工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (60311114)
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
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Keywords | 結晶成長 / らせん結晶 / キラリティー / 二クロム酸カリウム / ゼラチンゲル / コラーゲン / リーゼガング現象 |
Research Abstract |
1.二クロム酸カリウム(K_2Cr_2O_7)のらせん結晶の「その場観察」を中央大学・松下貢(研究分担者)研究室と共同で行い,その映像解析から次の知見を得た。 (1)らせん成長は,先端成長であり,添加物を加えない通常の実験条件では,すべて右巻きキラリティーを持っている。(左巻きらせんは出現しない) (2)成長先端は鋭い2本の角(horn)で構成され,これらが互いに右回りにねじれることによって,K_2Cr_2O_2の極めて特異な右巻き二重らせん構造が出現することを「その場観察」の映像で初めて確認することができた。 これらの成果を日本物理学会第57回年次大会で報告した。 2.炭酸カルシウムの水溶液からの結晶成長において,0.1%のアスパラギン酸(Asp)を溶かすと,そのD体とL体に対応した互いに鏡像関係にある成長形が得られている。これにヒントを得て,二クロム酸カリウム(K_2Cr_2O_7)のらせん成長実験系に多くの種類のアミノ酸等を加えたところ,0.1%の酸性アミノ酸(D-,L-Asp,D-,L-Glu),ポリアスパラギン酸およびポリアクリル酸において約20%の確率で左巻きらせんが出現した。これらの物質に共通する化学構造は,反応性の高いカルボキシル基(-COOH)であり,これが,らせんキラリティーの転換(右→左)に重要な働きをしていると推測している。これらの成果を日本物理学会第58回年次大会で報告した。
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