2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640344
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 実 京都大学, 工学研究科, 教授 (10314238)
|
Keywords | 高温超伝導 / エピタキシャル成長 / マグネトロンスパッタ法 / La_<1.9>Sr_<0.1>CuO_4 / Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ> / 固有トンネル分光 / 超伝導ギャップ / 擬ギャップ |
Research Abstract |
(1)微小極薄メサ試料の作製とトンネル特性 高周波マグネトロンスパッタ法によりSrTiO_3単結晶基板(100)面上に高温超伝導体La_<1.9>Sr_<0.1>CuO_4のc面エピタキシャル薄膜(膜厚約300nm、転移温度約28K)を、基板温度約750℃で成長させた。この薄膜を用いて10μm角、厚さ50nmの微小極薄メサを形成した。電極形成において、薄膜表面を30W、3分の条件でスパッタクリーニングを施すことにより接触抵抗を10^<-5>Ωcm^2まで低減せしめた。これにより、薄膜のc軸方向電気伝導特性の測定が可能となった。c軸方向抵抗率は金属的な温度依存性を示した。c軸方向臨界電流は約10^4A/cm^2であった。また電流電圧特性はRSJ的な特性を示した。 (2)短パルストンネル分光のエネルギー領域拡大と高温超伝導体トンネル分光特性 固有ジョセフソン接合の微小メサを用いた固有トンネル分光においては、発熱を抑制するために1μsの短パルスを使用するが、電界が約0.6MV/cmを超えると電界降伏試料破壊が発生する。そのため、1接合当りの最大電圧(エネルギー)が100meV以下に制限され、エネルギーの高い擬ギャップ等の観察には分光範囲が不十分であった。今回、パルス電流波形として、方形波の前後に正弦波を連結した合成波形を使用し、最適化することにより、電界降伏破壊が著しく抑制され、固有トンネル分光の測定エネルギー範囲が従来の100meVから200meV以上となる大幅な改善を達成した。これを高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>に応用することにより、これまでの固有トンネル分光実験では見出されていなかった新しいピーク(構造)を見出した。この構造は磁場を印加しても変化せず、擬ギャップらしいこと、もしくは超伝導ギャップと異なる由来の構造であることがわかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Suzuki, K.Anagawa, M.Lmouchter, T.Watanabe: "Distinct Superconducting Gap and the Pseudogap in the Interlayer Tunneling Spectroscopy for Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>"Physica C. 362. 164-168 (2001)
-
[Publications] K.Anagawa, T.Hamatani, M.Lmouchter, M.Suzuki, T.Watanabe: "Short Pulse Tunneling Characteristics for Small Mesas of Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>"8^<th> International Superconductive Electronics Conference Extended Abstracts. 431-432 (2001)
-
[Publications] M.Lmouchter, K.Anagawa, M.Suzuki, T.Watanabe, A.Matsuda: "Non-Conventional Temperature Dependence of the Maximum Josephson Current in Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ> Intrinsic Josephson Junctions"8^<th> International Superconductive Electronics Conference Extended Abstracts. 433-434 (2001)