2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12640347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 隆介 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60221751)
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Keywords | 超伝導 / 渦糸状態 / 渦糸グラス転移 / ジョセフソン渦糸 / スピン三重項超伝導 / 量子相転移 |
Research Abstract |
今年度はまず、前年度取り組んだ題材の一つであるジョセフソン渦糸状態の相図について、今年度夏に海外学術誌で報告された実験が我々の理論通り、きれいな極限での渦糸固体への転移が1次であることやその転移線が固体間の逐次磁場誘起構造転移を反映して磁場の増大に伴い振動することを示したのを受けて、特に構造転移しあうジョセフソン渦糸格子の具体的構造を理論計算に基づいて提案した。しかし、今年度の主要な研究課題は量子臨界点近くの超伝導揺らぎの問題が中心であった。その一つとして、スピン三重項超伝導を示すSr_2RuO_4の対状態を対象に、対状態の波数依存性に応じて臨界乱れ値における揺らぎ伝導度の温度依存性がわずかではあるが異なることから、例えば対状態がP波かf波のいずれかであるかを(伝導度を実験的に測れば)結論できることを指摘した。つぎに別の例として、乱れのある2次元超伝導薄膜における磁場誘起超伝導絶縁体転移を示唆する抵抗現象を渦糸グラス転移の理諭を用いて説明することに成功した。これは、絶対零度での渦糸グラス(超伝導)相と渦糸液体との間の量子2次転移に起因する量子臨界現象が抵抗の磁場温度変化として現れることが以前から提案されてはいたが、具体的な理論がなかったという状況を考え、今回理論を構築したものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Adachi, R.Ikeda: "Fluctuation Conductivity in Unconventional Superconductors near Critical Disorder"Journal of the Physical Society of Japan 誌. 70・10. 2848-2851 (2001)
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[Publications] H.Ishida, H.Adachi, R.Ikeda: "Microscopic Study of Quantum Vortex-Glass Transition Field in Two-Dimensional Superconductors"Journal of the Physical Society of Japan 誌. 71・1. 245-253 (2002)
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[Publications] H.Ishida, R.Ideda: "Theoretical Description of Resistive Behavior near a Quantum Vortex-Glass Transition"Journal of the Physical Society of Japan 誌. 71・1. 254-264 (2002)
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[Publications] Ryusuke Ikeda: "Josephson Vortex States in Intermediate Fields"Journal of the Physical Society of Japan 誌. 71・2. 587-593 (2002)
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[Publications] Ryusuke Ikeda: "Studies of High Temperature Superconductors Vol.37"NOVA Science Publishers, Inc.. 19 (2001)