2001 Fiscal Year Annual Research Report
極低密度キャリア注入硼化物におけるエキシトニック強磁性の出現
Project/Area Number |
12640353
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊賀 文俊 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (60192473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅尾 和則 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (10223596)
高畠 敏郎 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40171540)
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Keywords | 低密度キャリア系 / ホウ化物 / 強磁性 / 格子欠損 / 熱処理 / エキシトニック絶縁体 / 中間子スピン緩和 / 内部磁場 |
Research Abstract |
エキシトニック強磁性体Ca_<1-x>La_xB_6と酷似した電子構造をもつYb_<1-x>La_xB_6(x<0.006)が、Tc=150〜200Kの強磁性体であることを磁化とミュオンスピン緩和測定により発見した。 1.単結晶育成について:YbB_6の単結晶育成はクセノンランプ四楕円イメージ炉を用いた浮遊帯域溶融法で確立した。これまでわずかに存在していたYbB_<50>相はYb組成を10%増しにすることで、完全に消滅させることができた。この段階ではこの単結晶試料は反磁性磁化率を示す。これを真空中で熱処理することで、Yb欠損を導入すると、大きな常磁性モーメントが誘起されることを発見した。 2.多結晶作製:真空焼成で反応させて作った焼結体は、スポンジ状の特徴的な構造を有するが、精密X線構造解析や、EPMAではYbとホウ素以外の元素は見つからなかった。この試料は、バルクでも、粉末にしても、塩酸で洗浄してやっても、Tc=150-200Kの強磁性体であることが確実になった。強磁性がなぜこの状態の物質で出て、単結晶では出ないのかは大きな問題である。スポンジ状の構造に由来する特殊な磁性なのか、表面の特殊な構造によるのかを、極微物性評価手段により突き詰めていく予定。 3.中間子スピン緩和:低温10Kまでの内部磁場は小さく、緩和過程スペクトルはほとんど常磁性的ガウシアン型を示した。しかし、バルク磁化率と同じく、150-200Kで内部磁場が0.2mTから0.8mTへと増大したことから、自発モーメントが存在すると結論できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] F.Iga: "Thermoelectic properties of the Kondo semiconductor : Yb1-xLuxB12"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 85-86 (2001)
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[Publications] M.Udagawa: "Raman scattering investigation of high temperature ferromagnetic crystals"J.Phys.Soc.Jpn.. 71(in Press). (2002)
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[Publications] M.Sera: "Ce site substitution effects on the multipolar interactions in CeB6"J.Phys.Soc.Jpn.. 71(in Press). (2002)
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[Publications] H.Takagiwa: "Magnetic Properties in Phase IV of Ce0.7La0.3B6 and Ce0.8Nd0・2B6 probed by Muon Spin Relaxation"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 31-34 (2002)
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[Publications] T.Susaki: "Photoemission study of substitution effects in the Kondo insulator YbB12"J.Phys.Soc.Jpn.. 70. 756-761 (2001)
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[Publications] M-S.Kim: "Transport and magnetic properties of a low-density carrier system SmBiPt"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 3650-3653 (2001)