2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松川 宏 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 高明 島根大学, 教育学部, 助教授 (10273913)
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
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Keywords | 摩擦 / トライギロジー / ナノトライギロジー / 潤滑 / 地震 / スティックスリップ |
Research Abstract |
界面間に潤滑剤や粉体など介在物がある場合の摩擦を考える。この系はスムースな運動、規則的なスティックスリップ運動、非規則的でその強度分布が巾上則に従うスティックスリップ運動など様々な運動を示す。しかし、どのような条件下でどのような運動をするのか、はあきらかではない。それを統一的に理解し、さらに物性を予測するため、我々は介在物のある系の滑り摩擦の有効モデルを作り、その振る舞いを調べてた。 このモデルでは、まず介在物の層状構造を仮定し、各相の局所的な密度揺らぎを表す変数により系を記述する。そして、介在物を上下の基盤の間に挟み、上の基盤に繋がったバネの他端を一定の速度で駆動する。 このモデルを数値的に調べることにより以下のことがわかった。低速駆動の場合は、周期的スティックスリップ運動が見られる。固化した介在物が応力を受け、融解しそのときスリップする。すると応力が緩和し、再び固化しスティックする。これを繰り返すことによりスティックスリップ運動を起こすそして高速では非周期的なカオティックな運動が見られる。このように駆動速度を変えることにより、運動形態の相転移を示す。 さらに、上下の基盤と介在物の間の結合定数を変化させたときの系の振る舞いを調べ、このとき最大静摩擦力は適当な結合定数のところで最大値をとることを示した。結合定数が十分小さければ、滑りは基盤と介在物の間で起こり、摩擦力は小さい。逆に結合定数が十分大きいと、基盤に接している介在物の層は基盤の格子の周期にロックされる。このとき、滑りは介在物の層の間で起こるが、いま上下の基盤と介在物はインコメンシュレートな関係にあるため、このときも摩擦力は小さい。適当な結合定数のときは、基盤に接している介在物の層が、内部の介在物の層と基盤を仲介するため、摩擦力が大きくなると考えられる。
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Research Products
(1 results)