2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松川 宏 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
川口 高明 島根大学, 教育学部, 助教授 (10273913)
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Keywords | 摩擦 / トライボロジー / ナノテクノロジー / ナノマシーン / 電荷密度波 / 摩擦力顕微鏡 / 潤滑 / ピン止め |
Research Abstract |
滑り摩擦を軽減するために最も良く行われる方法は界面間に潤滑剤を導入することである。通常のマクロな機械における滑り面間では、潤滑剤の導入により流体潤滑が達成され、摩擦は小さくなりスムースな滑りがおこる。しかし、ナノマシーンなどでは、滑り面間に導入される潤滑剤も微量となる。そして潤滑剤が数分子層となると、バルクの融点より高温でも潤滑剤が固化し、スティックスリップが起こることが実験的に観測されている。これまでこのスティックスリップは、固化した潤滑剤がずり応力により融けスリップを起こす、するとずり応力は緩和し潤滑剤は再び固化しスティックする、このことを繰り返すことにより起こるといわれてきた。我々は、潤滑剤など介在物のある系の滑り摩擦の有効モデルを作り、その振る舞いを調べることにより、新しいスティックスリップのシナリオを発見した。一般に物質が違えば格子定数が違う。そのため、固化した潤滑剤の結晶秩序は上下の界面物質とインコメンシュレートな関係にある。このままだと、潤滑剤と上下の界面物質の間の静摩擦力は0となる。しかし、界面物質との相互作用のため潤滑剤の固相は歪み、ディスコメンシュレート構造を作り、両者の間には有限の最大静摩擦力が働く。ここにずり応力が加わると、潤滑剤はもとのインコメンシュレートな結晶秩序を回復し、それにより摩擦力は小さくなり、スリップを起こす。すると応力は緩和し潤滑剤の固相は歪みディスコメンシュレート構造を作り、スティックする。すなわち、回復した結晶秩序が滑りをもたらすのである。また、グラファイト基盤とグラファイトフレーク間の原子摩擦、弾性多様体のピン止めと運動、それへの塑性変形の効果についても新たな知見を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Kawaguchi, H.Matsukawa: "Numerical Simulations atomic-scale friction between solid surfaces"Surface Review & Letters. Vol.8 No.5. 447-452 (2001)
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[Publications] T.Kawaguchi, H.Matsukawa: "Friction and complex dynamics at solid surfaces"Computer Physics Communications. (掲載予定). (2002)
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[Publications] T.Kawaguchi, H.Matsukawa: "Nanoscale Friction and Interfacial Effects"Proc. of the International Conference on Materials for Advanced Technologies. (掲載予定). (2002)
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[Publications] T.Kawaguchi, H.Matsukawa: "Numerical Study of Nanoscale Lubrication and Friction at Solid Interfaces"Proc. of Applied Statistical Physics : Molecular Engineering Conference. (掲載予定). (2002)