2001 Fiscal Year Annual Research Report
反応熱により制御された多価イオン-分子衝突における解離イオンの画像分光
Project/Area Number |
12640386
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本橋 健次 東京農工大学, 工学部, 助手 (50251583)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴淵 誠二 東京農工大学, 工学部, 教授 (60028248)
|
Keywords | 多価イオン / 電子移行衝突 / 解離 / 運動量 / 画像分光法 / 反応熱 / クーロン爆発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、従来は不可能であった「多価イオン-分子電子移行反応における、分子の中間状態とその後の解離過程を実験的に特定する方法」を開発することである。イオンと分子の電子移行衝突で誘起される解離過程を調べるためには、衝突直後に生成された分子の中間状態を実験的に特定する必要があるが、従来は入射イオンの価数変化だけを特定していたためにそれが不可能であった。本研究では、衝突後の入射イオンの価数変化に加えて、運動エネルギー変化と解離イオンの三次元運動量を同時測定できる新しい分光装置を開発することを目的とした。また、冷却装置を一切必要としない小型で可搬の多価イオン源を開発することも研究目的の一部とした。 平成12年度は小型多価イオン源の開発と論文発表を行った。開発した多価イオン源は、冷却装置が一切不要で、直径20cm・長さ40cm、消費電力4Wの非常に小型のイオン源であるが、Ne^<10+>,Ar^<18+>,Kr^<29+>といった高電離多価イオンを生成することができる。永久磁石と特殊形状のヨークを用いた効果的な磁気回路の採用により、このような高性能を実現することができた。 平成13年度は画像分光装置の開発と、国内外の学会発表、図書の公表を行った。開発した分光装置は、入射イオンの価数変化と共に、高分解能(E/ΔE=1100)で運動エネルギー変化を測定でき、同時に解離イオンの三次元運動量を分解能30(P/ΔP)以上で測定できる。これにより、電子移行直後の入射イオンと標的分子の電子状態を特定することが可能である。Ar多価イオン(価数3, 8, 9, 11, 12)とN_2, CH_4, CF_4分子との衝突実験を行い、エネルギー利得と解離イオンの三次元運動量画像を取得した結果、電子移行直後の内部電子状態を特定することに世界で初めて成功した。さらに、運動量画像から分子の配向や解離の異方性に関する情報を引き出すことにも成功した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kenji Motohashi: "Compact electron-beam ion trap using NdFeB permanent magnets"Review of Scientific Instruments. 71・(2). 890-892 (2000)
-
[Publications] Kenji Motohashi: "CORRELATIONS, POLARIZATION, AND IONIZATION IN ATOMIC SYSTEMS"American Institute of Physics. 325 (2002)