2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しいエネルギー変換素子SATEC-エンジンの新しい理解の方法を目指して
Project/Area Number |
12640390
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
矢崎 太一 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20144181)
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Keywords | 熱音響現象 / 音響エンジン / エネルギー変換 / 非線形振動 / 進行波 / 熱機関 / 冷凍機 / スターリングエンジン |
Research Abstract |
平衡熱力学で学んだエンジンを非平衡の観点から理解する新しい方法を実験的に提案することが本研究の目的である。実験系として熱音響エンジンに注目し、そのエネルギー変換のメカニズムを作業流体の動的な性質を調べることによって明らかにした。この系は進行波エンジンと定在波エンジンが可能であり、熱力学的にどのモードでエネルギー変換が実行されるかに注目した。結果的にエンジンを理解するための新たな方法とそれを支配している新たな「熱力学の法則」を提案するとともに、新しいエンジン(冷凍機)を開発することに成功した。これらの成果は米国の物理学会速報誌に投稿予定である。結果を以下に簡単に述べる。 従来のエンジンは「熱」と「仕事」の間のエネルギー変換装置と理解されており、不可逆過程に対して「エントロピー増大則」が成立した。新しいエンジンは(非平衡の観点から)「熱の流れ」と「仕事の流れ」の間のエネルギー(流)変換装置として理解され、不可逆過程に対して「エントロピー流増大則」が成立する。実験では「仕事流れ」と「熱の流れ」のエネルギー流を実験的に測定することによって、エンジンで成立する新たな法則の提案に至った。すなわち、実現されるエンジンモードは「エントロピー流増大最小の法則」に支配されることが実験的に明らかになった。 以上の結果に従い、全く可動部のない、しかも本質的に可逆エンジンの効率(カルノー効率)をもつ新しいエンジンと冷凍機を試作することに成功した。21世紀のエネルギー問題に大きな影響を与えるものと確信する。
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Research Products
(2 results)