2000 Fiscal Year Annual Research Report
圧力ジャンプを用いた高分子液体の動的階層構造の研究
Project/Area Number |
12640392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹中 幹人 京都大学, 工学研究科, 助手 (30222102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 竹治 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026230)
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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Keywords | 圧力ジャンプ / ミクロ相分離 / マクロ相分離 / ブロックコポリマー / 階層構造 / 自己秩序化過程 / 複雑液体 / ポリマーアロイ |
Research Abstract |
研究実績は以下のとおり.本年度は、圧力ジャンプによる瞬間的なクエンチによって、温度ジャンプによる実験が不可能なA/B二成分高分子混合系の一相領域における速い濃度揺らぎのダイナミックスの観測を行った。用いた混合系は、重水素化ポリブタジエン(DPB,Mω=3.74×10^4,Mω/Mn=1.28)/ポリイソプレン(PI,Mω=8.5×10^4,Mω/Mn=1.1)混合系である。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。この混合系は下限臨界共溶温度型及び上限臨界共溶圧力型の相図を持つ。このDPB/PIを重量分率50/50で混合したサンプルを309.0℃で圧力P=80MPaを加え、30分保持し、系をその状態で平衡状態にもたらした後、圧力を0.1MPaにクエンチして、その後の小角中性子散乱の散乱光強度の時間変化の測定をおこなった。測定は東大物性研のSANS-Uで行った。測定時間は1スキャンあたり400秒である。測定結果は各種補正の後、絶対強度に換算した。圧力ジャンプに伴い、どの観測された波数qにおいても散乱光強度が増加し、大きなqほど速くt=∞の散乱光強度に近付くことがわかった。この散乱光強度の時間変化はCahn-Hilliard-Cook理論によりうまく表すことができ、成長速度のq-依存性およびオンサーガー係数のq-依存性を求めることができた。オンサーガー係数は、粘弾性効果によりDPBの慣性半径の約4倍の長さのスケールからq^<-2>-依存性をもつことがわかった。また、Cahn-Hilliard-Cook理論に粘弾性効果を取り入れたDoi-Onukiの理論式を用い、粘弾性測定よりオンサーガー係数のq依存性を計算した結果、圧力ジャンプにより求められたオンサーガー係数のq依存性と一致し、Doi-Onukiの理論の妥当性を証明した。
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Research Products
(1 results)