2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640395
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
占部 久子 東京家政学院大学, 家政学部, 助教授 (00193970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 洋子 北里大学, 理学部, 教授 (10167455)
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Keywords | ラマン光学活性 / 低振動数ラマンスペクトル / 蛋白質結晶 / DNA / 全体振動 / ノーマルモード |
Research Abstract |
分子の振動状態間の遷移に関して,ラマンスペクトル強度に円偏光依存性がある場合,ラマン光学活性(ROA)があるといわれる.これはらせんを含む分子において,顕著に現れる. 生体高分子において,らせん自体の振動が最も直接的な形で現れると予想される,低振動数領域でのROAを測定することを発案した. DNA二重らせん,蛋白質結晶などの低振動数ラマンスペクトル(0〜250cm^<-1>)には,高分子の全体振動に由来する信号が現れる.DNAには,20cm^<-1>付近に鋭いピークが存在し,蛋白質の結晶にはいくつかの見かけのピークが存在する.これらの中から,らせんに由来する振動を取り出すことで,低振動数スペクトルの理解が深まると期待できる.低振動数領域のROAを測定する際には,レーザー照射による生体高分子試料の変化に対応するために,円偏光の向きを逆転させながら,フォトマルを用いた波長スキャンを行う.1/4波長板を機械的に回転させ,それぞれの円偏光の向きに対応したスペクトルを記録する方法を採用し,標準サンプル(CCl_4など)で検定を行った.完成した測定系は目的にかなうものであることがわかったが,光学系の調整方法などに問題を残している.2^*2^*2mm^3程度のリゾチーム結晶で試験測定を行ったが,ROAスペクトルはまだ得られていない.固体試料においては,表面での反射,固体内で偏光が変わってしまう可能性,等を考慮しなければならず,液体状態の方がROAを得やすいとの結論に達した.今後,濃厚蛋白質溶液,およびゲル状DNAでの測定を手がかりとして,結晶のROAに取り組む予定である.
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