2002 Fiscal Year Annual Research Report
漸進的モデル改良法による屈折・反射波走時、振幅を用いた構造解析法の開発と応用
Project/Area Number |
12640401
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 利典 千葉大学, 理学部, 助教授 (70222015)
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Keywords | 地震波速度構造解析 / インバージョン / 屈折波・反射波・後続波 / 海底地震学 |
Research Abstract |
1.「漸進的モデル改良法」の改良 今年度は、後続波の走時への取りこみを改良した。これまでは、後続波と思われるpickはそれぞれグループに分けて(このグループ分けは人間が目で行う)、グループごとにphaseの同定を初動走時のみで求めた2次元構造を用いて最小2乗法で自動的に行っていた。この方法は、人間が関与するところはpickとそのグループ分けだけであり、phaseの人間による同定を必要としない点や、グループとしてphaseを同定するためpick1つ1つについて行うより同定の信頼性が上がる点などが利点として挙げられる。しかしこの方法では、初動走時のみで求めた2次元構造を用いるので、この構造が実際の構造から外れている場合、後続波のphaseの同定を間違える可能性がある。これを避けるため、間違える可能性のあるグループについては最小2乗法による最適と次善の2つphaseを候補にあげ、そのそれぞれについてインバージョン解析を行うこととした。これにより計算量は増える(2 phaseとるグループがn個ある場合は、phaseの組み合わせは全部で2のn乗個となる。例えばn=8なら256個あり、計算も256倍になる。)が、よりロバストな方法となる。 上記の改良した方法を用いて構造解析のシミュレーションを行った結果初期モデルが悪い場合でも正しいphaseのものが最適解なることが示された。また、この方法を実際のデータにも応用し解像度の改善など良好な結果を得た。 2.観測データの取得 観測データを取得するため、人工地震構造調査に参加した。観測は、科研費基盤B2「日韓露による日本海の海陸境界域の地殻構造共同研究」(日本海対馬海盆、平成14年5月)と東大地震研の用船「特定共同研究(A)」(三陸沖、平成14年10月)で行った。これらの観測では海底地震計とエアガンを用いてデータの取得を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤壮, 佐藤利典, 篠原雅尚, 日野亮太, 西野実, 金沢敏彦, 五十嵐千秋: "海底地震計-エアガン探査による対馬海盆南東部海陸境界域のP波速度構造"地球惑星科学関連学会2001年合同大会予稿集. Sz-P005 (2001)
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[Publications] Ta.Sato, To.Sato, M.Shinohara, T.Kanazawa, R.Hino, M.Nishino, H.Kim, B.Y.Karp, N.Isezaki: "Seismic velocity structure of the margins of the southern and southwastern Tsushima Basin in the Japan Sea using ocean bottom seismometers and airguns"EOS, Transactions, American Geophysical Union, Fall Meeting supplement, Abstract T52A-0926. 82,47. F1254 (2001)
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[Publications] 佐藤 壮: "海底地震探査からみた日本海 特に対馬海盆 の形成テクトニクス"千葉大学大学院自然科学研究科 博士論文. 75 (2002)
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[Publications] 星 佳代子: "海底地震計と人工震源を用いた伊豆大島およびその周辺海域の地震波速度構造"千葉大学大学院自然科学研究科 修士論文. 40 (2002)
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[Publications] 佐藤壮, 佐藤利典, 篠原雅尚, 金沢敏彦, 日野亮太, 西野実, H.Kim, B.Y.Karp, 伊勢崎修弘: "海底地震探査からみた対馬海盆の形成テクトニクス"地球惑星科学関連学会2002年合同大会予稿集. T043-001 (2002)
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[Publications] 佐藤利典, 大石教博: "後続波の半自動同定を含めた地震波速度構造解析「漸進的モデル改良法Ver.2」"地球惑星科学関連学会2003年合同大会予稿集. (印刷中). (2003)