2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640407
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久家 慶子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50234414)
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Keywords | 放射エネルギー / 地震エネルギー / Apparent Stress / Rediated Energy / K-Net / Source Paramenters |
Research Abstract |
本年度われわれは浅発地震(5-21km)とやや深発地震(64-156km)の地震波の放射エネルギーの解析を行った。 やや深発地震に関する研究は近い観測点の少なさから大規模地震に限られることが多く、震源パラメターに関するスケーリングの研究は多くない。本研究では比較的小規模な地震を加えてやや深発地震の放射エネルギーを推定し、これまで多くなされている浅発地震のスケーリング則との比較を試みた。 解析に用いたデータはK-netとFreesiaの観測点で記録された波形の三成分のS波である。使用したイベントについては1996年6月から2001年12月までに北日本でおきた地震で、浅い地震は気象庁マグニチュード3.6-5.4のイベントを32個、深い地震では気象庁マグニチュード3.6-6.5を37個使用した。 放射エネルギーの推定は速度波形の振幅に直接影響されるので減衰とサイトの効果は無視できない。また浅発地震とやや深発地震では発生場所のQの値に大きな違いがあり、また波の伝播経路も違うので減衰の効果は二つの深さの地震で別々に求めた。また、サイトの増幅率は波の入射角によっても違うと思われるので同じく別々に見積もった。 推定したやや深い地震の地震波放射エネルギーの値は一定のエネルギー・モーメント比を示した。それは従来研究されてきたモーメントが大きくなるにつれエネルギーとモーメントの比も大きくなるという浅い地震のスケーリング則とは違うものである。また、大きなモーメントでは浅い地震のエネルギーが深い地震に比べていくらか大きくもとまっているが、Apparent stressはほとんど同じであるという結果を得た。この結果は、やや深発地震は浅発地震に比べて地震の効率が低いということを示唆している。地震の効率が低いということは深い地震ではより多くのエネルギーが岩石の破壊や摩擦熱などに消費されていると考えられる。
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