2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640409
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小田 仁 岡山大学, 理学部, 教授 (50127552)
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Keywords | 地震波異方性 / 地震波速度の付均質性 / 地球自由振動 / スペクトル / 干渉モード / インバージョン |
Research Abstract |
地球自由振動の固有周波数は,地震波速度の不均質性と異方性のために,縮退している固有周波数が分裂する。従って,速度の不均質性と異方性の影響を受けた地球自由振動のスペクトルは複雑になる。このことは,スペクトル構造の複雑さが,地球内部の地震波速度の不均質性や異方性の情報を与えてくれることを意味している。そこで,分裂した固有周波数から異方性速度構造や不均質性を推定する方法を開発し,数値実験でこの方法の有効性を吟味した。その結果,分裂した固有周波数が正しく観測できる場合には,速度の異方性と不均質性が決定できることが解った。また,トロイダルモードとスフェロイダルモードが干渉を起こすために,スフェロイダルモードのみを用いた解析では地震波速度構造が正しく求まらないことが解った。しかし,分裂した固有周波数が測定できるのは,緯度方向の次数が低い振動モード限られるので,高次のモードにはこの方法の適用が困難である。このような場合,スペクトルの観測値と計算値を一致させるように構造を求めるインバージョンが有効である。そこで,速度構造の異方性と不均質性のスペクトルへの影響を吟味した。異なるモードの干渉は,異方性が大きく寄与することが解った。このことは,スペクトルのインバージョンによって異方性構造を推定する場合,干渉スペクトルが重要な拘束条件となることを意味している。次に,スペクトルの観測値と計算値が一致するように,地震波速度の異方性と不均質性構造を推定する方法を開発した。数値実験の結果,構造が正しく求められ,この方法の有用性が確認された。 一方,短周期P波の走時解析によって,異方性の地域的変化を推定する試みも行った。その結果,西南日本の中国・四国地方では地殻と上部マントルの異方性に違いがあり,上部マントルでは,フィリピン海プレートが分布する地域と分布しない地域で,異方性に違いがあることが明らかにされた。
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