2000 Fiscal Year Annual Research Report
西太平洋-インド洋熱帯海域における季節内変動シグナルの解明
Project/Area Number |
12640424
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
轡田 邦夫 東海大学, 海洋学部, 教授 (40205092)
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Keywords | 季節内変動 / 表層海流 / 熱帯太平洋 / 散乱計 / エルニーニョ / インド洋 |
Research Abstract |
今年度行った作業の第一として、熱帯太平洋海域に展開する定点観測ブイデータから得られる表層海流・水温データの収集・編集処理を進めると共に、時系列解析を行い、季節内変動が卓越する深度・海域といった空間特性に加えて、卓越時期・持続期間といった時間特性を調べた。20世紀で最大規模と称された1997-98年エルニーニョ現象の発生・発達期に注目して解析を行った結果、上層海洋における季節内変動は、1996年末から97年前半のエルニーニョ発生期において顕著な卓越が見られると共に、西部から東部へ約2.6m/sの速度で東進するシグナルが明瞭に認められた。また、シグナルの鉛直構造を詳細に調べた結果、日付変更線付近を境に西部と東部で明らかな相違が認められ、西部においては季節内変動のシグナルが鉛直方向に急激に位相シフトする特性をもつことが明らかとなった。これは、同海域においてシグナルが海面を通して励起されることを意味しており、海上風変動による駆動の重要性が示唆された。 上記の結果は、学会等で口頭発表を行うと共に、論文として学術誌に投稿済みである。 第二の作業として、西部海域における海上風変動の解析を開始している。資料として、近年有効な資料の供給が可能になった人工衛星散乱計データを用いている。以前より実施してきた格子データの作成を継続し、まず赤道付近において係留ブイ観測による現場観測データとの比較による精度検証を行った。次に、対象海域における季節内変動シグナルの抽出を行い、変動の時間・空間特性の解析を行った。その結果、注目する期間において西部太平洋における季節内変動の発達が明らかとなったが、インド洋上における卓越も顕著であることが見出された。次年度は、太平洋-インド洋における同シグナルの発達過程について解析を進める予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ueki,I.,K.Kutsuwada,H.Inaba and A.Kaneko: "Quasi-2-day signal of surface oceanic current in the warm pool region during TOGA/COARE IOP"Journal of Oceanography. 56巻5号. 539-552 (2000)
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[Publications] Masuko,H.,K.Arai,N.Ebuchi,M.Konda,M.Kubota,K.Kutsuwada,T.Manabe, et al.: "Evaluation of vector winds observed by NSCAT in the seas around Japan"Journal of Oceanography. 56巻5号. 495-505 (2000)
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[Publications] Kutsuwada,K.and T.Kazama: "Intraseasonal variation of surface wind in the tropical Pacific-Indian Oceans during 1997-98 El Nino event-Use of satellite scatterometer data-,"Proceedings of the 5th Pacific Ocean Remote Sensing Conference 2000. 244-247 (2000)
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[Publications] 轡田邦夫,風間隆宏: "衛星散乱計データによる海面運動量フラックスの評価"月刊海洋. 31巻9号. 1-8 (1999)
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[Publications] 風間隆宏,植木巌,近藤雅之,轡田邦夫: "1997-98エルニーニョ発生期の熱帯太平洋およびインド洋上における西風イベントの特性"東海大学紀要・海洋学部. 第47号. 205-222 (1999)