2000 Fiscal Year Annual Research Report
火山性堆積物地域の埋没林の年輪年代学的解析による生態・環境情報の復元
Project/Area Number |
12640450
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
木村 勝彦 福島大学, 教育学部, 助教授 (70292448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長橋 良隆 福島大学, 教育学部, 助教授 (10292450)
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Keywords | 年輪年代学 / 火山 / テフラ / クロノロジー / 古環境 |
Research Abstract |
本年度の主な調査地として予定していた青森市大矢沢は、現地視察の結果、ヨシや、ガマ、ヤナギなどの植物の侵入が激しく、サンプリングが困難であることが判明したため、十和田八戸火砕流(13000BP)下の針葉樹材と、十和田中セリ火山灰層(5000BP)前後のブナ属、トネリコ属木材のうち保存の良いもの計10点の採取のみを実施した。針葉樹材はカラマツ属とトウヒ属からなり、年輪解析の結果、予備調査で得られた試料の年輪との同調性が認められ、樹皮の着いたものについては同一年に枯死したことが確認できた。また、青森県黒石市の同一火砕流層下でも4点の試料(いずれもトウヒ属)を採取したが、このうち1点が大矢沢のトウヒ属との年輪パターンが一致し、同一年に枯死していることが確認できた。十和田八戸火砕流は青森、秋田、岩手県の広域で認められているが、埋没材を含んでいる場合年輪解析によりテフラの同一性を確認できることが示された。 一方、埋没林に関する情報収集の過程で新潟県北部の加治川村で日本海沿岸東北自動車道建設に伴い出土した青田遺跡において埋没材が出土しているとの情報を得て、6月に現地視察を行い、ブナを多く含む大量の埋没材が得られることを確認した。近接する堆積層の一部には本研究のターゲットの一つである沼沢火山灰層(5000BP)も認められており、沼沢カルデラ噴火前後の年輪年代学的な編年に極めて有効であり、緊急性を要すると判断したため、新潟県埋蔵文化財調査事業団の協力を得て試料採取を実施し、12月発掘終了までに人為的な加工のない(埋蔵文化財とは認定されない)自然木の埋没材から年輪解析用ディスク試料500点以上を採取することができた。これらの試料については現在年輪解析を実施している。
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