2000 Fiscal Year Annual Research Report
生痕化石の検討に基づく生物撹拌作用(バイオターベーション)の変遷史解明
Project/Area Number |
12640451
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小竹 信宏 千葉大学, 理学部, 助教授 (00205402)
|
Keywords | 生痕化石 / 生物撹拌作用 / バイオターベーション / 時代変遷 |
Research Abstract |
本研究課題における本年度の第一の目的は、これまで十分な基礎データが集積されている新第三紀〜第四紀堆積物中に産する生痕化石の解析をもとに、生物撹拌作用の概要を把握しまとめることにあった。第二の目的は、地質学的基礎情報が蓄積されつつある中生代二畳紀〜前期白亜紀の地層に見られる生痕化石群集の把握であった。対象は、南部北上帯に分布する地層群である。 前者の場合、表層堆積物の撹拌作用は、内在型歪形ウニ類の移動にともなう撹拌、トビエイ類に代表される底生魚類の摂食にともなう撹拌、内在型環形動物類の移動と摂食・排泄行動にともなう撹拌、表層堆積物食者の摂食・排泄行動にともなう撹拌、定住生活を保証する巣穴形成にともなう撹拌、といった多種多様な生活・行動様式が複雑に関与していることが判明した。 後者では、これまでほとんど報告が無かった二畳紀〜前期白亜紀の生痕化石群集の概要が判明しつつある。すなわち、この時代の極浅海相〜斜面堆積物を特徴づける生痕化石は、Phycosiphon incertum,Scalarituba isp.,Zoophycos isp.といった泥食者の摂食・排泄行動によって形成されたものが卓越することである。その一方、甲殻類の巣穴であり長期定住型生活様式を反映して形成されるOphiomorpha nodosaが、ジュラ紀と白亜紀の境界付近から突如出現することが判明した。これらのことは、ジュラ紀末までは堆積物極表層部で自由生活を採用する泥食者の摂食・排泄行動が生物撹拌作用の担い手であり、その後はそれに、巣穴形成にともなう表層堆積物の鉛直方向での大きな移動が付加したらしいことが明らかとなってきた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kotake Nobuhiro: "Ethology and ecological interpretation of the trace fossil Phoebichnus from the Pleistocene deepsea sediments, Boso Peninsula, central Japan"PALAIOS. (印刷中). (2001)
-
[Publications] 小竹信宏: "古生物の科学3「古生物の生活史」"朝倉書店. 271 (2001)