2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸性雨の岩石鉱物に与える影響に関する実験的研究-炭酸,硫酸,硝酸,塩酸を用いて-
Project/Area Number |
12640473
|
Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
小林 祥一 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 教授 (20109739)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 尚史 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60098580)
妹尾 護 倉敷芸術科学大学, 国際教養学部, 教授 (50226677)
|
Keywords | 酸性雨 / 人工風化実験 / 二酸化炭素 / ハンレイ岩 / 花崗岩 |
Research Abstract |
本年度は、1.昨年度からの継続で、ハンレイ岩の酸性雨の影響に関する検討、2.大気中の二酸化炭素と平衡にある炭酸水による岩石鉱物に与える影響を検討するために、花崗岩およびハンレイ岩を対象に、炭酸水を用いた人工風化実験を行った。1および2の実験はいずれも天然での環境に近い開放系で行うため、ソックスレー抽出器を一部改良した装置を用いた。55℃に保った抽出部に、1では、片側を研磨した約50個のハンレイ岩の岩石片(10x9x5mm大)を入れ、pH=4の硝酸、塩酸、硫酸および蒸留水の4種溶液を上部から滴下し行っている。2では同様に花崗岩とハンレイ岩をそれぞれ抽出器の抽出部に入れ、二酸化炭素を飽和した炭酸水で風化実験を開始した。これまで行った実験で得られた知見はそれぞれ以下の通りである。 1.今年度は特にソックスレー抽出器中に入れた780日間処理した岩石片について、SEM像による表面観察と、主構成鉱物の表面に生成した変質生成物についてXRDで検討した。SEM像による観察では、単斜輝石についてはどの酸溶液でもほとんど変化は認められなかったが、斜長石表面では、クラックや劈開に沿っていくらかの溶解が認められた。カンラン石表面では溶解が他の鉱物に比べ顕著であった。また、カンラン石および斜長石表面には、鉄あるいはAIに富む不定形の変質生成物が認められた。これは、昨年度報告したFeを濃集したスメクタイトと何らかの混合層鉱物、およびAIに富むアモルファスな二次生成物の成長を示唆するものであった。3種酸溶液で処理したカンラン石、斜長石の表面に認められた変質生成物のXRDパターンは、イライト、スメクタイト、緑泥石の存在を示した。 2.炭酸水を用いた実験は開始して間もないため、この詳細な結果、および塩酸、硫酸、硝酸で処理したデータとの比較検討結果を次回に報告する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Shiraga, K., Kusachi, I., Kobayashi, S., Yamakawa, J.: "Baghdadite from Fuka, Okayama Prefecture, Japan"J. Mineralogical and Petrological Sciences. 96・2. 43-47 (2001)
-
[Publications] Kusachi, I., Nishimura, M., Shiraga, K., Kobayashi, S., Yamakawa, J.: "Kinoite from Fuka, Okayama Prefecture, Japan"J. Mineralogical and Petrological Sciences. 96・1. 29-33 (2001)
-
[Publications] 大前暁政, 草地 功, 小林祥一: "岡山県布賀に産する高温型スカルンを形成した火成岩類の岩石学的研究"岩石鉱物科学. 31・1. 1-14 (2002)
-
[Publications] Kobayashi, S., Sakamoto, T.: "Artificial weathering of granite under earth surface conditions-The Influence of Acid Rain on Rocks and Minerals (part 3)-"Clay Science(昨年度は印刷中でした。今回未記載だった巻号などの詳細を報告). 11・4. 349-367 (2001)