2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子・核波束動力学理論(レーザー場中の分子変形と電子移動制御への応用)
Project/Area Number |
12640484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 裕彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70178226)
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Keywords | 増強イオン化 / 結合軟化 / 電子移動 / 強光子場 / トンネル型イオン化 / 断熱ポテンシャル / 分子変形 / クーロンポテンシャル |
Research Abstract |
高強度・長波長レーザー場(>10^<13>W/cm^2,λ>700nm)中では電子波動関数が光の半周期(【approximately equal】1fs)以内でも劇的に変化する.レーザー電場ε(t)と相互作用するクーロンポテンシャル系の時間依存Schrodinger方程式を厳密に解くことにより,水素分子では電子がε(t)に対して断熱的に動き,イオン結合性の状態H^+H^-とH^+H^-が電場の周期に応じて交互に生成することが明らかになった.このように誘起された分子内電子移動は核が感じる断熱ポテンシャルを大きく変化させ解離(結合軟化)や多原子分子では構造変化をもたらす.また,核間距離が伸びたところでトンネル型イオン化(電子が電場によって大きく歪んだクーロンポテンシャルを透過することによる)が大きく促進される増強イオン化の原因にもなっている. これらの現象の鍵となる電子の動きはε(t)に追従する時間依存断熱電子状態とそれらの間の非断熱遷移(ε(t)の時間t依存性による)の考えによって説明できる.対応する時間依存断熱ポテンシャル上を核が動くという考えに基づけば,大きな分子のε(t)による変形も基底及び主要な励起電子状態を求めれば解析できる.一例を挙げると,レーザーで生成したCO_2の多価イオンは大きく曲がっていることを明らかにした.これは,レーザー場によってCO^<2+>_2の結合距離が1.2から1.6Åあたりまで伸び,それに伴って大振幅の変角振動が誘起されるからである.この機構は山内らの実験結果をうまく説明する.一般に,レーザーの振動数が分極率を変化させるモードの振動数より大きい場合,分極率が大きくなる方向に分子変形が起こることを明らかにした.変形の振幅はレーザー強度に断熱的に追従する.分子変形やトンネル型イオン化の制御法も提案した.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] I.Kawata: "Intense-laser-field-enhanced ionization of two-electron molecules"Physical Review A. 62・3. 031401(R)-1031401(R)-4 (2000)
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[Publications] K.Harumiya: "Exact two-electron wave packet dynamics of H_2 in an intense laser field"Journal of Chemical Physics. 113・20. 8953-8960 (2000)
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[Publications] H.Kono: "A theoretical study of electronic dynamics and deformation of CO_2 in intense laser fields"Journal of Physical Chemistry (Edward Schlag Festschrift). (印刷中). (2001)
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[Publications] H.Kono: "Development of a dual transformation method and its application to electronic and nuclear dynamics"RIKEN Review. 29. 60-65 (2000)
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[Publications] N.Suzuki: "Dynamical Study on resonance by using a wave packet propagation method"Physica Scripta. (印刷中). (2001)
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[Publications] I.Kawata: "Enhanced ionization of the two electron molecule H_2 in intense laser fields"Laser Physics. 11・2. 188-197 (2001)
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[Publications] 河野裕彦: "季刊化学総説46「超高速化学ダイナミクスフェムト・ピコ秒領域の化学」"学会出版センター. 245-253 (2000)
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[Publications] H.Kono: "Advances in Multiphoton Processed and and Spectroscopy. Vol.14"World Scientific. 165-188 (2001)