2002 Fiscal Year Annual Research Report
スピン-格子緩和時間による超高速プロトン移動速度における溶媒効果の研究
Project/Area Number |
12640489
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
益田 祐一 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20181654)
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Keywords | スピン-格子緩和時間 / 分子内水素結合 / プロトン移動速度 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
(1)Dibenzoylmethaneの分子内水素結合に対する溶媒効果:表題化合物の水酸基に対する,H/D同位体シフト,重水素核の四極子結合定数,酸素-17-プロトン間の双極子-双極子相互作用などを,種々の溶媒,温度において決定した。四塩化炭素中,アセトニトリル中では,これらのパラメーターに有意の差異は認められなかったが,電子供与性の極めて強いDMSO中で,明らかなOH結合の伸長が認められた。プロトン移動ダイナミックスに関しては,反応による磁気的相互作用の揺らぎが小さいため,観測に有意の寄与は認められなかった。 (2)安息香酸二量体におけるプロトン移動速度:酸素-17-プロトン間の双極子-双極子相互作用に対する,分子回転とプロトン移動ダイナミックスの寄与を分離するため,広い粘度範囲(1cP-100cP)の炭化水素中での上記相互作用を抽出した。高粘度領域で,プロトン移動の寄与が認められ,その速度定数は,2x10^<10>s^<-1>と見積もられた。この値は,結晶中で,予想されたものに比べ,1,2桁小さく,溶液中での安息香酸分子間の配置の自由度の寄与が考えられる。 (3)N, N'-diphenyl-6-aminofulvene-1-aldimineの分子内水素結合に対する溶媒効果:窒素-15-プロトン間の双極子-双極子相互作用から,表題の問題を検討した。その結果,(i)プロトン移動ダイナミックスの寄与は認められなかった。このことは,本化合物中でのプロトン移動速度が,〜10^<11>s^<-1>よりも遅いことを意味する。(ii)アセトニトリルのような比較的電子供与性の強い溶媒中で,NH結合の伸長がみられた。この効果は(1)の場合に比べやや顕著であり,これは,両者の水素結合の強さの違いに起因する。
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Research Products
(1 results)