2000 Fiscal Year Annual Research Report
置換基のコンホメーション変化に基づく固相相転移と転移点近傍の動的構造解析
Project/Area Number |
12640490
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩崎 不二子 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10017329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 正憲 電気通信大学, 機器分析センター, 助教授 (00201822)
橋爪 大輔 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00293126)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / 温度分割構造解析 / 相転移 / 有機結晶 / アシル尿素 / フェナントリジンニトロキシド / アルキル鎖のコンホメーション |
Research Abstract |
有機結晶の相転移点近傍の結晶構造の温度変化を詳細に追跡し、相転移機構を明らかにすることは、転移に伴って単結晶状態を保持できないこと、4軸型X線回折計では1サイクルの測定に数日間かかることなどから、これまでほとんど行われていなかった。また、単結晶-単結晶転移であっても、転移点のごく近傍では両相の回折点が混在するために、4軸回折計では10K位の幅に亘って格子定数すら明確には決定できなかった。本研究は、従来、熱的測定、分光学的手段、粉末X線回折等によって推定せざるを得なかった構造変化の詳細を、二次元検出器回折計による単結晶構造解析によって行うものである。すなわち、単純に高温相、低温相の二点の構造を明らかにするのではなく、構造の動的変化を温度軸に対して観測することを目的として、今年度から発足した。 360K付近で相転移を示すアシル尿素誘導体RCONHCONHR'結晶(R=i-C_5H_<11>,R'=C_2H_5)について、98,298,328Kおよび348〜374Kの間を2K間隔で構造解析を行った。転移点よりかなり前から熱膨張に伴って、水素結合による平板状分子集合体が平行移動し、その空間を埋めるように側鎖のR=i-C_5H_<11>が乱れて転移を出現することが明らかとなった。類似の結晶構造を示すが相転移のないRCONHCONHR'(R=i-C_5H_<11>,R'=C_3H_7)についても構造の温度変化を調べたところ、側鎖のC数の違い、コンホメーションの違いによって、熱膨張による空隙があまりできないため、相転移を示さずに融解に至ることが分かった。また、260K付近で明確な単結晶-単結晶相転移が存在する長鎖アルキル基(C_<13>H_<27>など)を置換基にもつフェナントリジンニトロキシド誘導体などについて、転移点近傍を数K(2K程度)間隔で広い温度領域に亘って単結晶X線構解造析を行い、温度変化の詳細を検討した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Yasui,E.Kan-nari,T.Ishida,T.Nogami,F.Iwasaki: "The Experimental Deformation Electron-Density Distributions of 4-Aryl methylene amino-2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidyloxyl (TEMPO) Radicals : Relations between Electron Densities and Intermolecular Interactions"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 73. 1333-1340 (2000)
-
[Publications] T.Miyake,T.Ishida,D.Hashizume,F.Iwasaki, and T.Nogami: "One-Dimensional S=1 Ferromagnetic Chain Formed by a Square Ni 2 S 2 Motif in Ni (qt)2 (qt=Quinoline-8-thiolate)"Chem.Lett.. 952-953 (2000)
-
[Publications] T.Kusaka,T.Ishida,D.Hashizume,F.Iwasaki,and T.Nogami: "Low-Temperature Magnets M[N(CN) _2]_2 (pyrimidine) (M=Fe and Co) with a 3-D Network"Chem.Lett.. 1146-1147 (2000)
-
[Publications] M.Yasui,Y.Ishikawa,N.Akiyama,T.Ishida,T.Nogami and F.Iwasaki: "Dipyrimidine-Cu(II) dinitrate complexes showing magnetic interactions "Acta Crystallogr.Sec.B. 57(in press). (2001)
-
[Publications] M.Yasui,R.Takayama,N.Akiyama,D.Hashidume and F.Iwasaki: "Electron density distributions of pyrimidine-bridged Cu,Fe and Co complexes showing magnetic properties."Mol.Cryst.Liq.Cryst.. (in press). (2001)
-
[Publications] 岩崎不二子: "これからの有機結晶化学"日本結晶学会誌. 43. 304-309 (2000)