2002 Fiscal Year Annual Research Report
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12640495
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木下 正弘 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (90195339)
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Keywords | 界面活性剤分子 / ミセル / 積分方程式論 / 溶媒和自由エネルギー / 排除容積 / 臨界ミセル濃度 / コロイド分散系 / 生体系 |
Research Abstract |
ミセルの研究と蛋白質分子に対する研究は多くの共通点を有しているため、両者を並行して行った。溶媒の効果を分子性流体用の統計力学理論(積分方程式論)として知られるRISM理論によって取り込み、複数の界面活性剤分子で構成される超分子の構造サンプリングに対してのみ徐冷モンテカルロ法を適用し、両者を1つの熱力学理論で統合させる複合型方法論の育成研究を進めた。ミセル形態として、球状のもののみならず、円筒状のものやディスク状のものも形成されることが再現できた。球状以外の秩序形態(即ち、円筒状やディスク状などの形態)は、溶媒側の事情によって形成される。特に、エントロピー的排除容積効果の役割が大きい。現在、現実的なモデルを用いた解析に発展させつつある。まず、温度を上げると非イオン性界面活性剤分子のミセルサイズが大きくなることの物理化学的要因を明確にすることから出発している。 積分方程式論の基礎式をx-y-z(3次元カーテシアン)座標に基づいて定式化し、コロイド分散系や生体系におけるエントロピー的排除容積効果の役割に関する解析に用いた。密な溶媒中で、溶媒分子よりもずっと大きい溶質や表面が何らかの秩序化を起こす場合、あるいは何らかの秩序構造を形成する場合、溶媒のエントロピー(及び系全体のエントロピー)が増加する。そのような秩序化や秩序構造形成(鍵-鍵穴間相互作用に見られる高いサイズ選択性、蛋白質分子のフォールディング、アミロイド形成など)において、エントロピー的排除容積効果が重要な役割を果たしていることを提言した。「生体系における種々の秩序化または秩序構造形成は、エントロピー的な犠牲を払って起こる」と考えられがちであるが、それは必ずしも正しくないことを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Imai, H.Nomura, Masahiro Kinoshita, F.Hirata: "Partial Molar Volume and Compressibility of Alkali Halide Ions in Aqueous Solution : Hydration Shell Analysis with an Integral Equation Theory of Molecular Liquids"The Journal of Physical Chemistry B. 106・29. 7308-7314 (2002)
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[Publications] Masahiro Kinoshita, Y.Sugai: "Methodology of Predicting Approximate Shapes and Size Distribution of Micelles : Illustration for Simple Models"Journal of Computational Chemistry. 23・15. 1445-1455 (2002)
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[Publications] Masahiro Kinoshita: "Interaction between Surfaces with Solvophobicity or Solvophilicity Immersed in Solvent : Effects Due to Addition of Solvophobic or Solvophilic Solute"The Journal of Chemical Physics. (in press).
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[Publications] Masahiro Kinoshita: "Roles of Entropic Excluded-Volume Effects in Colloidal and Biological Systems : Analyses Using the Three-Dimensional Integral Equation Theory"Chemical Engineering Science. (in press).
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[Publications] 木下正弘: "化学フロンティア(7)、「生体系のコンピュータ・シミュレーション」、11章『タンパク質の水和と構造安定性』"化学同人. 131-139 (2002)