2000 Fiscal Year Annual Research Report
温度可変低温希ガスマトリックス単離法による孤立環境下の超精密有機立体配座解析
Project/Area Number |
12640520
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 弘 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60222395)
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Keywords | 低温アルゴンマトリックス単離法 / 赤外分光法 / コンホメーション解析 / 振動解析 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
平成12年度の研究では,温度可変低温希ガスマトリックス単離のための光学測定用クライオスタットの購入と設置,ならびに測定を行なうための試料の吹き付け装置の開発を行なった。現在のところ,1,2-ジクロロエタンを用いた,実験装置の精度を検証している段階である。また,本装置を適用した精密配座解析を行なう有機化合物として,1,2-ジメトキシエタンならびに1-メトキシ-2-メチルチオエタンを選び,これらの化合物について,分子軌道計算やハイブリッド型密度汎関数法を用いた配座エネルギーの決定や振動スペクトルのシミュレーションを行なった。その結果,次のような結果が得られた。 1.1,2-ジメトキシエタンについて 各種の基底関数系を用い,密度汎関数法(B3LYP法)ならびに非経験的分子軌道法(HF法,MP2法)によって計算されたTTT形およびTGT形の間のエネルギー差を見積もった結果,電子相関を顧慮した計算法や大きな基底関数系を用いた場合には,両者の間のエネルギー差は極めて小さいことがわかり,いずれの場合でもTTT形のほうが安定であることがわかった。 2.1-メトキシ-2-メチルチオエタンについて この化合物の安定な配座は,TTG形とTGG'形であることがわかった。しかし,両者の安定性は,基底関数系の規模により逆転することが明らかとなった。したがって,これから温度可変低温希ガスマトリックス単離法により,両者間のエネルギー差を実験的に検証していくことは極めて興味深い課題となる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroshi Yoshida: "Density Functional Vibrational Analysis using Wavenumber-linear Scale Factors"Chemical Physics Letters. 325(4). 477-483 (2000)
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[Publications] Keiichi Ohno: "Vibrational Spectroscopic and Theoretical Calculation Studies on Conformational Behavior of Simple Sodium 1-Alkanesulfonates"Journal of Molecular Structure. 553(1-3). 49-59 (2000)
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[Publications] Keiichi Ohno: "Protonation-Induced Conformational Changes of N,N,N',N'-Tetramethyl-ethylenediamine.Importance of Strong N-H+...N Hydrogen Bonding"Chemistry Letters. 2000(12). 1406-1407 (2000)
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[Publications] Takanori Harada: "Implication of Intramolecular OH…Se Hydrogen Bonding and CH…O Interaction in the Conformational Stabilization of 2-(Methylseleno)ethanol Studied by Vibrational Spectroscopy and Density Functional Theory"Journal of Physical Chemistry A. (印刷中).
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[Publications] Hiroatsu Matsuura: "Handbook of Vibrational Spectroscopy Vol.3"Wiley(印刷中).