2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規な不飽和チオクラウンエーテルおよびその類縁体の合成と機能性に関する研究
Project/Area Number |
12640523
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏夫 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50192612)
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Keywords | 有機硫黄化合物 / 環状不飽和化合物 / クラウンエーテル / チオクラウンエーテル / 結晶構造 / 紫外吸収スペクトル / 酸化還元挙動 / 銀錯体 |
Research Abstract |
アセトニトリル中、クラウンエーテル(15-crown-5)存在下、硫化ナトリウムとcis-1,2-ジクロロエチレンとの反応により、1,4-ジチインおよび員数の異なる新規な種々の不飽和チアクラウンエーテル(9,12,15,18,21,24員環化合物)を総収率40%で得ることができた。得られた不飽和チアクラウンエーテルの内、15から24員環化合物はX線結晶構造解析に成功し、いずれももS-C-C,C-S-Cの結合角は歪みがなく、分子内に空孔を有する構造であることがわがった。また、18がら24員環化合物は結晶状態において全ての硫黄原子が環の内側を向いたエンド型であることが明らかとなった。15から24員環化合物の紫外吸収スペクトルを測定したところ、アセトニトリル中、15員環は255nmに吸収極大を示し、シクロヘキサン中では吸収極大は267nmに長波長シフトし、吸光係数は減少した。このことより、この吸収極大はn→π*遷移であると考えられる。また、同一溶媒中では、15がら24員環へと環の員数が増大すると共に吸収極大は長波長シフトした。CV法を用いて15から24員環の酸化還元的挙動を調べたところ、いずれも非可逆なサイクリックボルタモグラムを示したが、環のサイズが大きくなるほど酸化ピークは低下、還元ピークは上昇し、電位差が減少する傾向がみられた。これは、環のサイズが大きくなるほど生成するカチオン種やアニオン種の電荷が非局在化され、酸化、還元共に受け易くなっているためと考えられる。アセトン中、18員環とトリフルオロ酢酸銀との反応により、錯体[Ag(18-UT-6)(CF_3COO)](UT:Unsaturated Thiacrown ether)が得られた。この錯体は空気中でも安定で、X線結晶構造解析により結晶状態において、分子内の6個の硫黄原子のうち3個が銀に配位していることが明らかとなった。
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