2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規な不飽和チオクラウンエーテルおよびその類縁体の合成と機能性に関する研究
Project/Area Number |
12640523
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50192612)
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Keywords | 有機硫黄化合物 / 環状不飽和化合物 / クラウンエーテル / チアクラウンエーテル / 水銀錯体 / 結晶構造 / 酸化還元挙動 |
Research Abstract |
前年度に合成した不飽和チアクラウンエーテルおよび対応する飽和チアクラウンエーテルと水銀イオンとの錯形成反応について検討した。アセトン中、18員環不飽和チアクラウンエーテル(18-UT-6) (U-T : Unsaturated Thiacrown ether)と当量のHgCl_2との反応により、水銀錯体Hg^<II>(18-UT-6)Cl_2が得られた。また、21員環不飽和チアクラウンエーテル(21-UT-7)とHgCl_2との反応でも1:1錯体が得られることがわかった。これらの錯体は^1H-NMR測定の結果、溶液中では解離の方向へ大きく平衡が傾いていることがわかった。Hg^<II>(18-UT-6)Cl_2はX線結晶構造解析により結晶状態において、水銀イオンは分子の空孔内に存在し、6個の硫黄原子が水銀イオンに配位していることが明らかとなり、また6個の硫黄原子と水銀は同一平面上にあることもわかった。またこの錯体はアピカル位に塩素原子を配した六角両錐構造であることもわかった。対応する18員環飽和チアクラウンエーテル(18S6)と当量のHgCl_2との反応でも1:1錯体を生成することがわかった。しかしこの錯体の結晶構造では、水銀は環の外側に存在しており、不飽和チアクラウンエーテルと飽和チアクラウンエーテルではその水銀錯体の構造が大きく異なることがわかった。18員環飽和チアクラウンエーテル(18S6)はCdCl_2とも1:1錯体を形成するのに対して、対応する不飽和チアクラウンエーテル(18-UT-6)は水銀と同族のカドミウムおよび亜鉛とは安定な錯体を形成しないことがわかった。HgCl_2,CdCl_2,ZnCl_2の混合溶液中で18-UT-6の錯形成を検討したところ、水銀錯体のみを選択的に与え、錯形成において高い選択性を示すこともわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tsuchiya, T., Shimizu, T., Hirabayashi, K., Kamigata, N.: "Silver Complexes with Unsaturated Thiacrown Ethers : Inclusion Behavior of Conformationally Restricted Macrocycles"The Journal of Organic Chemistry. 67(19). 6632-6637 (2002)
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[Publications] Tsuchiya, T., Shimizu, T., Hirabayashi, K., Kamigata, N.: "Formation and Structures of Mercury Complexes of 18-Membered Unsaturated and Saturated Thiacrown Ethers"The Journal of Organic Chemistry. (in press).
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[Publications] Shimizu, T., Kawaguchi, M., Hirabayashi, K., Kamigata, N.: "Synthesis and Structures of 15-and 18-Membered Unsaturated Selenacrown Ethers and Their Complexation with Silver Trifluoroacetate"Organic Letters. (in press).