2001 Fiscal Year Annual Research Report
新型トリポット錯体による加水分解金属酵素機能モデルの構築
Project/Area Number |
12640535
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤井 有起 茨城大学, 理学部, 教授 (50007564)
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Keywords | トリポット / 金属錯体 / ペプチド / DNA / 加水分解 / TACH / 反応機構 |
Research Abstract |
1.Cu(II)TACH錯体(TACH=cis,cis-1,3,5-triaminocyclohexane)によるジペプチドの加水分解速度をpH=8.1,T=70℃,Cu(II)TACH=2mM,dipeptide=2mMで測定し、次ぎの速度定数と速度促進率(REF)を得。GlySerが異常に速いことを見いだした。GlyGly:k_<obs>=4.1x10^<-3>h^<-1>(REF=23)、GlyLeu:1.6x10^<-3>h^<-1>(21)、Leugly:5.1x10^<-3>h^<-1>(64)、GlySer:9.2x10^<-2>h^<-1>(47)。 2.上記速度のpH依存性と錯体種の関係について検討し、加水分解反応が[Cu(II)TACH(dipeptide)]^+中間体(dipeptideはアミノ基とアミドカルボニル酸素でCu(II)に配位)を経由して進行すること、およびGlyGly,GlyLeu,LeuGlyでは外部OH攻撃機構で進行するのに対してGlySerはセリン-OH残基の分子内攻撃機構で進行することが解った。 3.錯体非存在下でのdipeptideの加水分解速度のpH依存性をT=70℃,pH=1-12で検討し、GlyGly,GlyLeu,LeuGly,SerGly,SerMetがU字型依存性を示すのに対して、GlySer,AlaSer,LeuSer,ValSerはW字型依存性を示し、後者はセリン-OH残基による分子機構で進行した。 4.Zn(II)HEN錯体(HEN=2-hydroxyethyl-ethylenediamine)よるdipeptideの加水分解速度のpH依存性を検討し、GlyGly,GlyLeu,LeuGly,SerGly,SerMetではアルカリ領域で速度が増加したのに対して、GlySer,AlaSer,LeuSer,ValSerではpH7.5で最大速度を示し、後者におけるセリン-OH残基による分子内機構が錯体経由の場合も保持された。 5.Cu(II)TACH錯体によるθX174DNA,pBR322DNA,pUC19DNAのFormIからIIおよびIIIへの加水分解速度定数を35℃,pH7-10で測定した。その結果、速度はθX174DNA≫pUC19DNA>pBR322DNAとなり、塩基数には比例せず、DNAの変形性に依存するという興味ある結果を得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y. Fujii, T. Kiss, T. Gajda等: "Copper(II)-cis,cis-1,3,5-triaminocyclohoxane Complex-promoted. Hydrolysis of Pipeptides : Kinetic, Speciation and Structural Studies"J. of Biolagical Inorganic Chemistry. (印刷中). (2002)