2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640542
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
馬越 啓介 長崎大学, 工学部, 助教授 (20213481)
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Keywords | 白金 / 水素化分解 / 触媒反応 / ピリジンチオール / C-S結合切断 |
Research Abstract |
二核白金(III)錯体は珍しい酸化状態であるため化合物例も少なく、その反応性や機能はあまり調べられていない.本研究では、二格白金(III)錯体の反応性を明らかにすることを目的として、5-メチルピリジンチオラト架橋二核白金(III)錯体と水素との反応、および5-メチルピリジンチオラト架橋二核白金(III)錯体を触媒とするピリジンチオールの水素化分解について検討している.昨年度、ピリジン-2-チオールのC-S結合切断に対する5-メチルピリジンチオラト架橋二核白金(III)錯体および関連錯体の触媒活性を調べ、5-メチルピリジンチオラトが架橋した二核白金(III)錯体は同じ架橋配位子を持つ二核白金(II)錯体より触媒活性が高いことを明らかにしている.これらの知見を踏まえ、本年度は触媒反応の機構を明らかにするために様々な実験を行った. ピリジンチオールのC-S結合切断における二核白金(III)錯体の軸配位子の影響を調べたところ、軸配位子がCl>Br>Iの順に触媒活性が減少することが分かった.5-メチルピリジンチオラト架橋二核白金(III)錯体をDMFやクロロホルムのような有機溶媒に溶かし、その溶液にピリジンチオールを共存させると、架橋している5-メチルピリジンチオラト配位子の一部がピリジンチオールと交換する。架橋配位子の置換されやすさは軸配位子がCl>Br>Iの順に減少しており、架橋配位子が置換されやすいほど触媒活性が高い.このことは、軸配位子とピリジンチオールとの交換が起こった後、架橋配位子と軸位のピリジンチオールとの交換が起こり、その後架橋ピリジンチオラトが活性化されてC-S結合の切断が起こっていることを示唆している. また、D_2雰囲気下でピリジンチオールの水素化分解を行ったところ、重水素化されたピリジンおよび3-ピコリンが1_H NMRで観測できた.これまでに得られた知見をもとに触媒反応の機構を推定した.
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