2001 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマスイオンを母核とするp,d,fブロック元素とのヘテロ金属多核錯体の合成
Project/Area Number |
12640543
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安里 英治 琉球大学, 理学部, 助教授 (10222580)
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Keywords | ビスマス錯体 / ヘテロ金属多核錯体 / X線構造解析 |
Research Abstract |
フェノキソ架橋型二核化配位子に焦点を絞り、「ビスマスイオン認識ユニット」と「異種金属認識ユニット」を組み込んだ新しい非対称型配位子の設計合成に取り組んだ。「異種金属挿入ユニット」には、遷移金属への配位選択性が高いシッフ塩基キレートを導入し、高配位数と酸度ドナーを好むビスマスイオンの認識には、EDTA骨格を組み込むことで、新規な二核化配位子の合成手法を確立した。金属イオンを鋳型として利用するシッフ塩基テンプレート法により、第一段階で異種金属Cu(II)を挿入した単核錯体を合成し、その単結晶X線解析により構造を決定するとともに、Bi(III)導入に好ましい空の第2キレート8配位座ユニット(Bi認識ユニット)が形成されていることを確認した。この錯体に硝酸ビスマスを反応させることにより結晶性錯体が得られ、各種分光学的測定結果(VU-vis, IR, ESR, ESI-mass)に基づき、Bi(III)-Cu(II)系の異種金属二核系である事を確認した。ビスマス錯体の多くは水で速やかに加水分解を起こし、不溶性のビスムチル塩(BiO^+)を生成するが、この二核化キレート多座配位子から得られたBi(III)-Cu(II)錯体は加水分解を起こさず、NMR測定からも水中で安定に骨格を保つ事が確認された。配位子設計から異種金属二核コアヘアプローチするこの手法は、他の遷移金属にも応用可能であることから、dブロック-Bi系異種金属錯体の合成ルートを確立できたと考えている。今後、他のdブロック金属との組み合わせからなる異種金属錯体の合成に加え、pブロック-、fブロック系異種金属錯体の手法を開発し、熱分解による酸化物生成の過程を調べる予定。
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