2002 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマスイオンを母核とするp,d,fブロック元素とのヘテロ金属多核錯体の合成
Project/Area Number |
12640543
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安里 英治 琉球大学, 理学部, 助教授 (10222580)
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Keywords | ビスマス錯体 / 異種金属二核錯体 / 複合酸化物 / X線結晶構造解析 / 錯体分解法 |
Research Abstract |
昨年度確立した異種金属用二核化配位子の合成法を改良するとともに、その二核化配位子を用いて、多様なBi-dブロック系異種金属錯体の合成に成功した。これまで、Bi(III)-Cr(III)系、Mn(III)系、Fe(II)系、Fe(III)系、Co(III)系、Ni(II)系、Cu(II)系、Zn(II)系二核錯体の合成とX線結晶構造解析に成功している。ビスマス錯体の多くは水で速やかに加水分解を起こし、不溶性のビスムチル塩(BiO^+)を生成するが、この二核化キレート多座配位子から得られるBi(III)-dブロック系錯体は加水分解を起こさず、NMR測定からも水中で安定に骨格を保つ事が確認された。Bi(III)-Cu(II)系錯体の熱分解過程をTGAより解析した結果、300℃という比較的低温で配位子が完全に分解するものの、XRD法で同定した400℃における焼成物にはCuBi_2O_4の主成分以外にBi_2O_3とCuOが、混入する事が分かった。一方、600℃以上ではBi_2O_3とCuOの反応が進み、ビスマスは全て複合酸化物へ変化する事が確認された。SEMによる表面観察においてCuBi2O4部位の均一性は極めて高い事も確認された。現在、他のdブロック系異種金属錯体の熱分解過程と焼成物の解析が進行中である。この手法では、比較的低温で均一性の高いの複合酸化物が得られる事から、今後はpブロック-、fブロック系異種金属錯体の合成法の確立に努めると同時に、熱分解過程と焼成物の解析を行う予定である。
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