2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロシル錯体の合成・構造決定とabuinitio計算による物性解釈
Project/Area Number |
12640548
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
柴原 隆志 岡山理科大学, 理学部, 教授 (30122386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 弦太 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90278911)
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Keywords | ニトロシル錯体 / 一酸化窒素 / クロム錯体 / 水素結合 / 赤外吸収 / ab initio |
Research Abstract |
これまでに、ニトロシルクロム錯体[Cr(NO)(NH_3)_5]^<2+>(A)を含む、対イオンの異なる5種類の錯化合物の合成およびX線結晶解析を行い、ニトロシル配位子の酸素原子と最隣接の錯体のアンモニア配位子との間の水素結合の強さの変化が錯化合物の色の変化の原因であることを報告した。 今年度はこれら錯化合物の赤外線吸収スペクトルを測定し、NO伸縮振動数と水素結合の関係を詳細に検討した。以下にその結果を錯化合物、色(極大波長nm),水素結合A、ν_<NO>の順に示す:A(PF_6)_2,赤(579),2.401,1693;AC1_2,橙(588),2.749,1683;AC1(C1O_4)赤紫(598),3.127,1710;ACl(PF_6),茶褐(603),3.262,1713;A(C1O_4)_2,深緑(623),3.595,1728。色(吸収極大波長)-水素結合距離-NO伸縮振動数の間にかなり高い相関関係が見出された。すなわち、水素結合が強くなると、吸収極大は短波長側に移動するとともに、NO伸縮振動数が減少する。なお、各種物性の比較検討から、錯体AはCr(I)-NO^+またはCr(II)-NOよりはCr(III)-NO^-で表わすことがより適切であるとの結論に至っている。 また、以下の錯体([Cr(NO)(NH_3)_5]^<2+>,[Cr(O_2)(NH_3)_5]^<3+>,[Cr(NO)(CN)_5]^<3->;[Cr(CN)(NH_3)_5]^<2+>,[Cr(N_2)(NH_3)_5]^<3+>,[Cr(CO)(NH_3)_5]^<3+>)のab initio計算を行うとともに、Cr-X(X=NO、CN、O_2、N_2、CO)の結合エネルギーの比較検討を行った。
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Research Products
(1 results)