2000 Fiscal Year Annual Research Report
100万気圧領域における遷移金属酸化物の電子遷移を伴う相転移
Project/Area Number |
12640552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿藤 敏行 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40241567)
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Keywords | 超高圧力 / 電気抵抗 / 電子遷移 / 酸化コバルト / 相転移 / ダイヤモンドアンビルセル / Mott転移 / 遷移金属酸化物 |
Research Abstract |
最近、研究代表者はMnO,CoOについて約100GPaの極端条件下で相転移することを見い出した。本研究では遷移金属酸化物の100GPa領域における電気抵抗の測定をおこない、これら高圧相の基本的な物性を調べることを目的とした。MnOおよびCoOのこれまでの高圧実験では相転移が生じる圧力領域で金属化することが予想されているが定量的な確証はまだ得られていない。 本年度はCoO単結晶をを対象物質とし、〜10μmの薄片の電気抵抗を93GPa,300〜20Kの範囲で測定を行った。圧力の発生には支給された科研費により購入したべリリウム銅製の小型クランプ式ダイヤモンドアンビルセルを使用し、現有の定電流源、マルチメーターを使って電気抵抗の測定を行った。また高圧をかけた状態でセルをクランプすることにより、現有のクライオスタットを用いて高圧下20Kまでの電気抵抗の温度依存性を測定した。 室温下においては93GPaまでの圧力領域で電気抵抗の大きな変化は見い出されなかった。そこで圧力93GPaにおいて圧力を保持し、室温から20Kまでの電気抵抗の温度依存性を測定したところ、220Kから120Kにかけて約6桁に及ぶ大幅な電気抵抗の減少を確認した。転移後の電気抵抗の温度依存性は金属的な挙動を示した。温度を室温に戻すと電気抵抗は約3桁上昇し、この転移が大きなヒステリシスを伴うことが分かった。この試料を再び冷却すると約3桁の電気抵抗の減少を伴う転移が観測される。これらの実験結果は10^3Ωcm,10^0Ωcm,10^<-3>Ωcmの抵抗率を持つ3つの相が存在し、これらの間の相転移は1次転移あることを示唆している。これらの相の内、抵抗率の最も小さい相は金属的な挙動を示すことから、100万気圧領域で絶縁体-金属のMott転移がおこったものと考えられる。
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