2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640571
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深瀬 浩一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80192722)
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Keywords | Affinity分離 / 固相合成 / 糖鎖合成 / ペプチド合成 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、固相合成と通常の溶液反応の長所を合わせ持ったハイブリッド合成手法として「Affinity分離を利用した新しい有機合成手法」を確立させることにある。すでにクラウンエーテルとアンモニウムイオンの相互作用が本合成手法に適用できることを見出していたので、平成12年度は多点間水素結合によるホスト-ゲスト相互作用を利用することを検討した。ここではホスト分子、ゲスト分子それぞれの合成の容易さを考慮して、バルビツール酸誘導体とその人工受容体の組み合わせを利用した。ここで人工受容体を固相に担持させ、バルビツール酸誘導体を様々な化合物に結合させることとした。次にこの多点間水素結合による相互作用がAffinity精製に十分使用可能であることを見出した。バルビツール酸誘導体は塩化メチレンやトルエンのような非極性有機溶媒を用いるとカラムに選択的に吸着され、塩化メチレン-メタノール(1:1)を溶出溶媒に用いることでカラムから迅速かつ定量的に溶出されることがわかった。続いてこの方法を用いてペプチド、ヘテロ環状化合物、糖鎖の迅速合成を達成した。以上述べたAffinity分離は通常のカラム精製と異なり、単離は迅速でかつ回収率が高い。固相合成の問題点の一つとして反応の追跡が困難であることが挙げられるが、この方法では反応を溶液中で行うことができるため、TLCなどによる反応の追跡が容易である。また任意の時点で他の様々な手法による精製が可能であるため、固相合成よりも高純度で目的化合物を得ることができる。現在はより複雑な有機化合物の合成への適用を検討している。
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