2000 Fiscal Year Annual Research Report
α,α-ジ置換ホモアリルアルコールからのアリルスズ化合物の新規発生法とその応用
Project/Area Number |
12640573
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
増山 芳郎 上智大学, 理工学部, 講師 (30138375)
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Keywords | カルボニル-アリル化 / アリルトリクロロスズ / ホモアリルアルコール / 塩化スズ(II) / N-クロロコハク酸イミド / N-トシルイミニウム / レトロ-アリル化 / 位置選択性 |
Research Abstract |
塩化スズ(II)/N-クロロコハク酸イミド(NCS)を用いて、塩化メチレン中でα,α-ジ置換ホモアリルアルコールからレトロ(カルボニル-アリル)化による新規なアリルトリクロロスズ化合物の発生法を開発し、カルボニル-アリル化反応に応用した。 実際には、α,α-ジイソプロピルホモアリルアルコールとベンズアルデヒドおよびヘプタナールの反応を例として、ハロゲン化スズ(II)とN-ハロゲン化コハク酸イミドの反応性、および溶媒、反応温度など反応条件を検討したところ、塩化スズ(II)/NCSを用いて、塩化メチレン中、-40℃で行うと最も高収率でカルボニル-アリル化が起こることを見出した。その反応条件で種々のアルデヒドが高収率でアリル化された。また、筆者らの以前からの2-ブテニルスズによるアリル化の研究で、塩化メチレン中では低収率であるが、通常とは逆のα-位置選択性を示すことがわかっている。そこで、今回開発した塩化メチレン中でのアリルスズ発生法を2-ブテニルスズの発生に応用し、そのカルボニル-アリル化の位置選択性について調査した。脂肪族アルデヒドおよび非配位性の電子求引基を持ったベンズアルデヒドでは高いα-位置選択性を示した。それに対して、配位性の置換基を持ったアルデヒド、たとえば4-シアノベンズアルデヒド、4-メトキシカルボニルベンズアルデヒド、3-フェニルプロパナールでは、高いγ-位置選択性を発現した。これらの位置選択性の発現機構について考察した。 塩化スズ(II)/NCSによりアルデヒドとトシルアミドからN-トシルイミニウムが形成されることをすでに報告している。そこで、アルデヒドの代わりにこのN-トシルイミニウムへのアリル化も試み、好収率でホモアリルアミンを生成することも可能にした。
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