2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640574
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
林 雄二郎 東京理科大学, 工学部, 助教授 (00198863)
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Keywords | 氷化高圧法 / 高圧 / バイリス・ヒルマン反応 / マイケル反応 |
Research Abstract |
高圧化の反応は一気圧下の反応とは異なる特徴を有するが、高圧の実現には油圧式ポンプ等を含む高価で、大掛かりな装置が必要とされ、一般的な合成手法として用いられることは少なかった。一方、水は凍る際に体積が約一割程度膨張することが知られており、変形しない容器中で水を凍らせれば高い内圧が得られるものと期待される。そこで本研究では変形しない容器中で水を反応溶媒として用い、水が凍る際の体積膨張を利用した高圧(氷化高圧)を有機合成反応に適用することについて検討を行った。昨年度、圧力装置を有する内容積90mlのステンレス製のオートクレーブを作成し、-20℃の冷凍庫で12時間放置することにより内圧が2千気圧に達することを見い出した。この装置を用い、アクリル酸メチルとアルデヒドとのバイリス・ヒルマン反応を試みた。触媒量のDBU存在下、芳香族アルデヒドはアクリル酸メチルとすみやかに反応し、対応する生成物を収率よく与えることを見い出した。なお、常圧下、同様の反応を行うと、収率は50%程度である。また、有機溶媒に比べ水は環境に優しい反応溶媒であり、水を反応溶媒とする有機合成反応の開発が望まれている。今回、マロン酸エステルのα、β-不飽和ケトンに対する完全水系でのマイケル付加反応に氷化高圧を適用した。種々条件の検討を行った結果、水酸化リチウム存在下マロン酸エチルとシクロヘキセノンとのマイケル反応は氷化高圧下すみやかに進行し、77%の収率で付加体が得られることを見い出した。なお、同様の反応を常圧下行うと、生成物は20%でしか得られない。以上のように、常圧下収率が悪い反応が、氷化高圧下収率よく進行することを見い出した。
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