2001 Fiscal Year Annual Research Report
全反射励起サーマルレンズ法による界面分子認識メカニズムの研究
Project/Area Number |
12640594
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河済 博文 近畿大学, 九州工学部, 助教授 (10150517)
|
Keywords | 全反射 / サーマルレンズ / イオン会合反応 / 溶媒抽出 / ファナントロリン / カリックスアレン / 反応速度 |
Research Abstract |
近年の分析化学の進歩に,分子レベルでの認識を利用した分離・検出法の開発がある。従来は濃縮率や分配比というバルクでの測定量で分子認識能力を評価していたが,新規の分子認識メカニズムを提案するには、その素過程である界面や表面で進行する会合体形成反応の詳細を分子レベルで明らかにすることが不可欠である。特に,液-液界面は多様な反応の場となる可能性があるが,固体表面に比べ研究手段は非常に限られている。本申請課題では新しい界面測定法として申請者らが提案した全反射励起サーマルレンズ法を改良,発展させ,カリックスアレンなど分子認識能を示す分子の界面での挙動を平衡論と速度論の両面から明らかにすることを目的とした。 我々が開発した全反射励起界面サーマルレンズ法を,従来より高機能で測定できるよう装置を改良,試作した.感度(単分子界面の1/10の濃度)や時間分解能(ミリ秒オーダでのリアルタイム測定)など基本性能は満足のいくものができた。初めに,従来から進めてい鉄イオン-フェナンスロリン錯体生成反応につきさらに詳しくその反応メカニズムを明らかにした。さらに,より高度な分子認識メカニズムが働いている界面反応へと応用するために光機能性部位を持ったカリックスアレンを合成した。分子会合体生成後の安定な状態での分子認識の相互作用はカチオン-πなどが知られているが会合前の認識当初の反応進行のドライビングフォースは何であるか全く検討されたことがない。界面反応をけい光とサーマルレンズ測定により追跡し,より情報量を増やすことでそのメカニズムが解明されつつある。また,本研究課題で得られる反応メカニズムの情報は非常に直接的な分子レベルのものである。分子動力学による計算化学シミュレーションを行い,それとの比較検討を行っており,今後の新規の分子認識反応や認識分子合成のための新しい研究方向につき検討する。 これまでの成果は,投稿論文として発表すると共に,近く成果報告書としてまとめ公表する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Sato: "Acid-Base Equilibrium Constant at the Water Surface and Distribution Coefficients between the Surface and Bulk as Studied by the Laser Two-Photon Ionization Techniques"The Journal of Physical Chemistry B. 104(42). 9873-9877 (2000)
-
[Publications] 河済 博文: "近赤外半導体レーザを光源とする光熱変換水分分析"分析化学. 50(12). 911-914 (2001)
-
[Publications] H.Kawazumi: "Observation of Fluidic Behavior in a Polymethylmethacrylate-Fabricated Microchannel by a Simple Spectroscopic Analysis"LAB ON A CHIP. 2. 8-10 (2002)