2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物ゲノム上に現れるgypsy型レトロトランスポゾンの多様性と局在性に関する研究
Project/Area Number |
12640596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 久子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (20158801)
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Keywords | イネゲノム / レトロトランスポゾン / トランスポゾン / 縦列型反復配列 / ヘテロクロマチン / FISH法 / セントロメア / 垂直伝播 |
Research Abstract |
1.植物界におけるgypsy型レトロトランスポゾンの分布と系統関係の解析 これまでに単離同定したイネの3種のgypsy型レトロトランスポゾン、RIRE2、RIRE3、およびRIRE7の逆転写酵素遺伝子(rt)の塩基配列をもとに、degenerated primerを作製し、単子葉、双子葉植物、こけ類、藻類、裸子植物等の広汎な植物材料からPCRを用いて多様なgypsy型レトロトランスポゾンを同定した。得られたgypsy型レトロトランスポゾンの逆転写酵素領域の相同性をもとに植物界におけるgypsy型レトロトランスポゾンの系統関係を解析した。その結果、植物のgypsy型レトロトランスポゾンは、A、B二つのファミリーに分かれ、AにはRIRE2が、BにはRIRE3、およびRIRE7が属すること、A、B両ファミリーの中でも、単子葉植物と双子葉植物由来のレトロトランスポゾンはそれぞれクラスターをなすこと、さらにイチョウ、シダ、こけ由来のレトロトランスポゾンもそれぞれクラスターをなすことがわかった。この結果は植物のレトロトランスポゾンが、殆どの場合垂直伝播によって伝わることを示すものだが、極くまれに水平伝播の可能性を示唆する例も見られた。 2.TrsDおよびRIRE7のイネゲノム上へのマッピング 体細胞中期及び減数分裂パキテン期のイネの染色体を材料としてFISH法によってRIRE7及び縦列型反復配列TrsDを染色体上にマップした。プローブとしては、RIRE7のLTR領域、縦列型反復配列TrsDのPCR増幅DNA断片を蛍光色素FITCおよびCy3で標識して用いた。その結果、TrsDがイネ染色体のペリセントロメア領域にマップされること、さらにいくつかの染色体ではTrsDに重なって、RIRE7のシグナルが観察されることがわかった。これは、TrsDおよびRIRE7がイネセントロメア近傍に局在していることを示す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kumekawa,N.: "Novel gypsy-type retrotransposon RIRE7 in rice : Inserted into tandemly repetitive sequence TrsD which is localized in heterochromatin of pericentromeric region."Mol.Gen.Genom.. ON LINE. (2001)
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[Publications] Noma,K.: "ATLN elements, LINEs from Arabidopsis thaliana : Identification and characterization."DNA Research. 7. 1-13 (2000)
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[Publications] Cheng,C.: "Tnr8, a foldback transposable element from rice"Genes Genet.Syst.. 75. 327-333 (2000)