2000 Fiscal Year Annual Research Report
葉の左右対称的形成に関与するAS2遺伝子の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12640598
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
町田 千代子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70314060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 泰則 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80175596)
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Keywords | シロイヌナズナ / 葉 / 左右対称軸 / メリステム / 変異体 / 形態形成 / ホメオボックス遺伝子 / 葉脈 |
Research Abstract |
葉器官は、発芽後地上部の幹細胞である茎頂メリステムから、発生分化し、基部先端部軸(proximo-distal axis)と、向背軸(adaxial-abaxial axis)をもち、左右相称的(left-right symmetry)で扁平な器官である。葉の左右相称的な形成機構を明らかにするために、シロイヌナズナの葉の形が左右非対称になるasymmetric leaves2(as2)変異体の遺伝学的、分子生物学的解析をおこなった。また、as2とよく似た表現型を示すasymmetric leavesl(as1)変異体との関連を調べた。我々は、AS2遺伝子がCystein rich motifとLeucine zipper domainをもつ新奇なタンパク質をコードしていることを明らかにしている。一方、AS1はMybドメインをもつタンパク質をコードすることがByrneらにより報告された。 (1)as2変異体は、葉の深い切れ込みが片側だけにはいっていたり、葉柄の片側だけに小葉が形成され、葉身の形が左右非対称であった。また、葉脈のパターンに異常が認められた。すなわち、葉の中心にある左右相称軸としての主脈の形成が不完全であり、二次脈が左右非対称であり、高次脈の形成が不全であった。 (2)as2とas1変異体においては、共に、本来、幹細胞である茎頂メリステムで特異的に発現している一群のホメオボックス遺伝子(KNAT1,KNAT2,KNAT6)が葉で異所的に発現していた。 (3)as2変異体as1変異体の葉切片をin vitroで培養すると、植物ホルモンを含まない培地で、シュートが形成された。 (4)AS2とGFPの融合タンパク質は核に局在する傾向にあることがわかった。 (5)as1 as2二重突然変異体の解析から、as2が遺伝的に上位にあることが分かった。 以上の結果から、AS2遺伝子は、葉の分化過程において、茎頂メリステム関連ホメオボックス遺伝子KNAT1,KNAT2,KNAT6の発現を抑制し、葉の中心にある左右相称軸としての太い主脈の形成と葉脈システム全体の確立に関与し、葉身の左右相称的形成を制御していると考えられた。また、AS2遺伝子は新奇なタンパク質をコードし、転写因子の一部として機能している可能性、AS2とAS1は葉の発生において共通の過程で機能していることが推測された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nakagawa,Y.: "Frequency and pattern of transposition of the maize transposable element Ds in transgenic plants"Plant & Cell Physiology. 41. 733-742 (2000)
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[Publications] Hamada,S.: "Mutations in the WUSCHEL gene of Arabidopsis thaliana result in the development of shoot without juvenile leaves"Plant J.. 24. 91-103 (2000)
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[Publications] Nakagawa Y.: "A system to induce deletion of genomic sequences using R/RS site-specific recombination and the Ac transposon in transgenic rice plants "Theoretical and Applied Genetics. (in press). (2001)
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[Publications] Semiarti,E.: "The transposition pattern of the Ac element in tobacco cultured cells"Genes and Genetic Systems. (in press). (2001)
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[Publications] Semiarti,E.: "The ASYMMETRIC LEAVES2 gene of Arabidopsis thaliana regulates formation of symmetric lamina, establishment of venation and repression of meristem-related homeobox genes in leaves"Development. (in press). (2000)
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[Publications] Machida C.: "Use of the R-RS site-specific recombination system in plants"Plant Molecular Biology Manual (ed.By Gelvin, S.B.) published by Kluwer Academic Publishers (Netherland). 23 (2000)
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[Publications] 塚谷裕一: "双子葉植物における葉の形成"秀潤社(監修:岡田清孝,町田泰則,松岡信). 14 (2000)
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[Publications] 町田千代子: "トランスポゾンを利用した遺伝子クローニング"生研機構ブレインVol.78. 6 (2000)