Research Abstract |
前年度に引き続き,数種のクジラ類に対し,吸盤装着型データロガーの装着を試みた.調査は以下の4回にわたって行われた. 平成14年5月17-20日 調査地:和歌山県熊野灘沖,対象種:マッコウクジラ 平成14年6月13-16日 調査地:和歌山県沖熊野灘,対象種:マッコウクジラ 平成14年9月10-14日 調査地:天草通詞島沖,対象種:ミナミハンドウイルカ 平成14年10月16-19日 調査地:小笠原諸島父島沖,対象種:マッコウクジラ 今年度から,昨年まで使用していたアメリカWildlife Computers社製のロガーに代えて,日本のリトルレオナルド社製のロガーに全面的に移行し,タグの再設計を行った.熊野灘調査の段階では,タグの飛行性能が十分でなく,2度の調査で1時間弱のデータしか得ることができなかったが,その後改良し,小笠原では9時間のデータを得ることができた.熊野灘では,タグが尾柄部についたため,1時間弱で脱落したが,尾ビレの動きと思われる振動を速度センサーにより捕らえることができた.これにより,マッコウクジラは,潜水,浮上中を通して尾びれを振っており,なんらかの浮力調節により能動的に潜水している,あるいはハンドウイルカで言われているようなグライディングにより潜水しているわけではないことが明らかとなった.また,小笠原でマッコウクジラ1頭に装着,やく9時間の潜水データを得た.この時のデータにおいても,尾びれの振動をとらえた.小笠原では,昨年同様,夜間潜水深度が急激に浅くなることが見られた.天草通詞島沖のミナミハンドウイルカのデータを,一昨年度のものと合わせて見ると,ミナミハンドウイルカは,昼間は,休息や移動が主たる行動パターンで,夜間に海底での採餌を行っていた.本種はマッコウクジラと異なり,ほとんどの時間を20mよりも浅い深度ですごすことが明らかとなった.
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