2001 Fiscal Year Annual Research Report
異なる光と水環境下で生育する植物の光合成誘導反応に及ぼす気孔・非気孔制限の評価
Project/Area Number |
12640624
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
唐 艶鴻 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (40270590)
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Keywords | 光合成誘導反応 / 光環境 / 水ストレス / 土壌水分 / 高山植物 / チベット草原 / 草本植物 / 光利用効果 |
Research Abstract |
今年度の計画は実験室で光合成誘導反応の律速過程において、気孔・非気孔制限が光合成への影響を定量的解析することであったが、計画を変更して、異なる光と水環境下で生育する高山植物の光合成誘導反応の測定と解析を行なった。 高山地域では、雲や風によって高山植物の光環境が大きく変動する。一方、太陽放射が強く、気圧も低いので大気が乾燥し易く、植物の水ストレスが大きいことも予想される。そこで、本研究では5種類の高山植物について、異なる土壌水分とVPD(Vapor pressure deficit)の条件下で変動する光に対する光合成を測定し、光合成誘導反応効率と光斑利用効率を検討した。 光合成測定は、以下の5種類の高山植物について行なった。 トウヒレン属 Saussurea superbaとSaussurea katochaete リンドウ属 Gentiana straminea メタカラコウ属 Ligularia virgaurea ハネガヤ属 Stipa sp. 5種類の高山草本植物では、光合成誘導班効率はSaussurea superbaがもっとも高く、イネ科のStipa sp.がもっとも低かった。S. superbaは匍匐性であり、他の植物に被蔭されやすく、他の種類の植物と比べ光の上昇に対して光合成の上昇がより早いことが示された。また、定常光環境下ではS. superbaの気孔抵抗が他の種より低いこともわかった。一方、光斑における光利用効率は、どの種においても大きな違いがなく、1より高いことがわかった。すなわち、これらの高山植物は変動する光条件下において光合成活性が高く、定常光環境と比べ光合成生産が高いことが示唆された。 しかし、光合成誘導反応と光斑の光利用効率に及ぼす水環境の影響を検討した結果、土壌水分と葉のVPDは変動光合成に対していずれも明らかな影響が見えなかった。これに対して、定常光条件下での強光による光合成の低下は、高いVPD条件下で大きかったことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Liang N., Y.Tang, T.Okuda: "Ecophysiological traits of Dipterocarpus sublamellatus in relation to its natural regeneration in a loland tropical rainforest, Malaysia.,"Tree Physiology.. 21. 1047-1055 (2001)
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[Publications] Muraoka H., Hirota H., Matsumoto J., Nishimura S., Tang Y., Koizumi H., Washitani I.: "On the convertibility of different microsite light availability indices, relative illuminance and relative photon flux density."Functional Ecology. 15. 798-803 (2001)
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[Publications] Fang J., Y.Tang, J, Lin, G.Jiang(ed): "Global Ecology : Climate Change and Ecological Response(Chinese)"Higher Education Press Beijing and Springer-Verlag Heidelberg. 315 (2001)