2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規な分子機構に基づく高等植物ジーンサイレンシングの解析
Project/Area Number |
12640628
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
児玉 浩明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (70302536)
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Keywords | ジーンサイレンシング / 転写後抑制 / スプライシング / リノレン酸合成酵素 / タバコ / 形質転換植物 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
リノレン酸合成を触媒する脂肪酸不飽和化酵素遺伝子を導入した高等植物で観察されるジーンサイレンシングでは、導入遺伝子の転写産物は過剰に蓄積するのに対して、内在性の遺伝子の転写産物の蓄積は認められない。この形質転換体のジーンサイレンシングの分子機構について平成12年度は以下の2点について研究を行った。 1,なぜ、内在性の遺伝子の転写産物は蓄積しないのか? ジーンサイレンシングを生じた葉から核を単離し、さらにRNAを核から調製した。このようにして野生株のタバコの葉から調製した核RNAをもとにRT-PCRをおこなったところ、リノレン酸合成酵素のRT-PCR産物はスプライシングされた形で増幅された。しかしジーンサイレンシングを起こした葉から調製した核RNAからはスプライシングされた分子量に相当するRT-PCR産物が得られなかった。この結果より内在性のリノレン酸合成酵素遺伝子のRNAのスプライシングが異常になっていることが示唆された。 2,導入遺伝子の転写産物は蓄積するのに、なぜリノレン酸含量が大幅に低下するのか? ジーンサイレンシングを起こした葉から単離したpoly(A)+RNAからcDNAライブラリーを作成した。リノレン酸合成酵素をプローブにして現在、導入遺伝子からの転写産物をスクリーニングしている。スクリーニングによって導入遺伝子の転写産物に対するcDNAが単離され、その塩基配列を決定することで、蓄積している導入遺伝子のRNAの構造が解明できるものと思われる。
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