2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物生体内の金属イオンの輸送-新規な金属結合担体の構造と機能の解析
Project/Area Number |
12640631
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩井 祐三 静岡大学, 理学部, 教授 (70094092)
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Keywords | 金属結合担体 / Mg-脱離物質 / Mg-脱離タンパク / クロロフィル分解 / 金属輸送 |
Research Abstract |
クロロフィルaの分解の初期段階には,マクロおよびイソサイクル環において少なくとも3つの修飾・脱離反応が存在する.2番目のMg脱離反応については,酵素ではなく熱に安定な低分子の物質が関与していることが明らかになっている.その物質はクロロフィリドaからのMgの脱離のみを特異的に行うのではなく,2価の陽イオンに特異的で広く植物に分布する金属運搬体であることがわかり,我々は,この物質をMetal-Chelating Substance(MCS)と命名し,研究を行ってきた. Mg脱離活性の測定は,これまでクロロフィリドaを基質として,Mgの脱離した反応生成物,フェオホルビドaの生成を見ていたが,今回,クロロフィル同様ポルフィリン環を持つクロロフィリン(Mg-クロリン)を基質とした活性測定法を試行した.その結果,シロザ(Chenopodium album)から調製した抽出物には,MCSとは性質の大きく異なるMg脱離能を持ったタンパク質の存在が明らかになってきた.本年度は特に,このMg脱離タンパクの精製法を確立し,その性質を調べた. 精製はシロザのアセトンパウダーを20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で抽出し,硫安分画により30-75%の沈殿を回収した.これを透析し,DEAE,Butyl,HW-55クロマトグラフィーを用いて精製した.精製の結果,粗抽出液に対して28倍に精製された.精製したMg脱離タンパクを用いて求めた至適pHは7.5,K_m値は95.1nMであった.分子量は,ゲルろ過法により20,000と求められた.以上のことから,このMg脱離タンパクは新規なタンパクであると考えられる.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Doi,M.,Inage,T.and Shioi,Y.: "Chlorophyll Degradation in a Chlamydomonas reinhardtii Mutant: An Accumulation of Pyropheophorbide a by Anaerobiosis"Plant Cell Physiology. 42(印刷中). (2001)