2000 Fiscal Year Annual Research Report
原索動物頭索類を起源とする脳-下垂体系の調節機構の解明
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12640644
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
窪川 かおる 東京大学, 海洋研究所, 助手 (30240740)
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Keywords | ナメクジウオ / ホルモン / クローニング / 進化 / 生体調節 / 脳 / 神経 / 下垂体 |
Research Abstract |
本研究の目的は脊椎動物の祖先として重要な動物であるナメクジウオにおいて、脊椎動物の脳-下垂体調節系の起源を解明することである。そのために,Hatschek's pitで合成される分泌性ペプチドタンパク質の遺伝子配列を全て決定し、これらから、ナメクジウオと脊椎動物の下垂体ホルモンにおける分子進化を解析すること,および,神経管からの調節物質による下垂体ホルモン類似ペプチドタンパク質の合成・分泌の制御機構の可能性を検討することである。平成12年度はHatschek's pitを中心に研究を進めた。ナメクジウオのHatschek's pitおよび筋肉のcDNAライブラリーからサブトクション法によってHatschek's pit特異的なcDNAクローンを選別し、その塩基配列を解析している。約50個の既知の遺伝子配列に相同なクローンと約100個の未知の遺伝子を得た。脊椎動物の下垂体ホルモン様のたんぱく質をコードする遺伝子は含まれていないが,生体調節に不可欠な機能タンパク質を得ている。そのうちの幾つかの全長配列とその発現部位を決定しようとしているところである。また,分泌顆粒に含まれる物質の直接探索のために,in situ質量分析法を試みている。低分子量のペプチドが存在する可能性があり,現在検討中である。LH抗体によるイムノスクリーニングではクローンを得ることはできず,従来のLH抗体による免疫組織化学的陽性反応はある細胞内シグナル伝達タンパク質への反応である可能性がある。また,下垂体の抽出物へのLH抗体によるイムノブロッティングの結果も陰性であった。未だ下垂体に関しての明らか証拠が得られていないが,今後の研究推進を加速するものとして,2000年夏に日本で初めてナメクジウオの継続的産卵に成功し,自然産卵ではあるが,受精卵の大量入手が可能になった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suga,H.: "Protein tyrosin kinasecDNAs from apmphioxus, hagfish and lamprey : isoform duplications around the divergence of cyclostomes and gnathostonmes"J.Mol.Evol.. 49. 601-608 (2000)
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[Publications] Kubokawa,K.: Zool.Sci.. 16,s〜p.(in press). (2000)