2001 Fiscal Year Annual Research Report
松果体除去による脊柱変形のメカニズムと松果体に内在する生物時計の役割
Project/Area Number |
12640647
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
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Keywords | 松果体 / 脊柱 / 側弯 / メラトニン / 概日リズム / 体内時計 |
Research Abstract |
脊椎動物の身体を支える中軸骨格である脊柱がいかに形づくられていくかは,非常に興床あるテーマである。孵化後すぐにニワトリの松果体を除去すると,脊柱形成に異常が生じ,側弯が生じる。この実験モデルは個体全体として細胞あるいは組織同士がどのような情報交換をして,正しい形(脊柱)を作りあげるのか,脊柱形成過程を時間・空間レベルで調べることができる優れたモデルである。最近我々が見いだした肉用品種(ブロイラー)を用いる系で,は,松果体除去後わずか2週間で100%の個体に側彎が生じる。一方,これまでの研究より,孵化後すぐのニワトリ松果体には明瞭な概日リズムを示す体内時計が存在すること,またこのリズムは日齢とともに消失することが知られている。そこで本研究では,松果体に内在する体内時計が,脊柱形成に対してどのような役割を担っているかを明らかにすることを目的として以下の実験を行った。 本年度は,まず,ニワトリの松果体除去日齢を変化させた時に生じる脊柱変形個体の発生頻度とその程度を調べた。また合わせて,除去日齢の松果体に概日リズムを刻む体内時計が存在するか否かについても検討した。その結果,孵化後1日目に松果体を除去すると100%の個体に脊柱変形が生じるのに対して,5日目に松果体を除去すると80%,2週目に除法すると55%の個体に発生し,3週目になると約20%の個体にしか脊柱の変形が発生しなかった。また,彎曲度の平均値も日齢とともに有意に減少した。一方,その時の松果体内の概日時計について調べるために,今回は恒明条件下における血中メラトニン濃度の日内変化を測定した。その結果1, 3日齢では明瞭な概日リズムが認められたのに対して,3週齢ではリズムは消失していた。今後さらなる検討が必要ではあるが,本実験結果は正しい脊柱形成に松果体に内在する概日時計が関与している可能性を示すものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 服部淳彦: "メラトニンと睡眠"Annual Review 神経2002. 7-17 (2002)
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[Publications] Tsubaki, et al.: "Effects of estradiol on differentiation of reproductive organs and development of the spine in chick embryos."Proc. Japan Soc. Comp. Endoc.. 16. (2001)