2000 Fiscal Year Annual Research Report
サザエ・トリプトファン分解酵素(IDO)遺伝子の単離とミオグロビンへの機能変換
Project/Area Number |
12640664
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 知彦 高知大学, 理学部, 助教授 (60145109)
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Keywords | ミオグロビン / ヘモグロビン / IDO / アルギニンキナーゼ |
Research Abstract |
私達は1992年に,軟体動物腹足類トコブシの口の筋肉に多量に含まれるミオグロビン(分子量40kDa)が,いわゆるミオグロビン,ヘモグロビン遺伝子(その産物は16kDa)から生じたものではなく,ヘムを含むが機能的に全く異なるトリプトファン分解酵素の一種,インドールアミン二原子酸素添加酵素(IDO,42kDa)から機能的に収束進化し,トコブシの中ではミオグロビンとして機能しているという全く新しい事実をつきとめた.本年度は,先ずサザエのIDO遺伝子及びIDO型ミオグロビン遺伝子の単離を試みた.サザエIDO型ミオグロビンのcDNA由来アミノ酸配列は既知であるので,そのcDNA配列の一部をプローブにして,サザエgenomicライブラリー(λFIXIIで作成)をスクリーニングした.スクリーニングはRIを用いない発色法で行った.その結果,サザエIDO型ミオグロビン遺伝子の断片を得ることができた.この情報を基に,IDO型ミオグロビン遺伝子の構造(エキソン/イントロン配置)の80%以上を決定することができた.更に,スクリーニングのハイブリダイゼーションの条件を変えることによって,酵素IDOの遺伝子断片を含むクローンを得ることに挑戦したが,現在まで目的のクローンは得られていない. 次に,IDO型Mbが軟体動物の腹足類の進化の過程で何時生じたのかを明らかにするために,分子マーカーとしてアルギニンキナーゼ(AK)のアミノ酸配列を用い,軟体動物腹足類の分子系統を明らかにするための研究に着手した.腹足類アメフラシやベッコウガサのAK配列に加えて,頭足類のオウムガイ,マダコ,アオリイカ等のAK配列を決定できた.これらの結果から得られた軟体動物の分子系統を踏まえてIDO型ミオグロビンの誕生と進化を考察した. これらの結果は, 2000年7月末にフランスのロスコフで開かれた第12回国際酸素結合タンパク質会議において,研究成果の発表を行った.
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[Publications] Suzuki T. et al.: "Arginine kinase from Nautilus pompilius, a living fossil"J.Biol.Chem.. 275. 23884-23890 (2000)
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[Publications] Suzuki T. et al.: "Gastropod arginine kinases from Cellana grata and Aplysia kurodai."Com.Biochem.Physiol. (Biochem.& Mol.Biol.). 127. 505-512 (2000)