2001 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの記憶中枢キノコ体における変態に伴う神経回路網再構築の解析
Project/Area Number |
12640668
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
泰山 浩司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60148690)
|
Keywords | ショウジョウバエ / キノコ体 / 免疫組織化学 / コリン作動性 / GABA作動性 / 触角葉出力ニューロン / シナプス |
Research Abstract |
キノコ体は昆虫の前大脳にみられるニューロパイルで,傘部(入力部位)と柄部・葉部(出力部位)からなる。本研究は,ショウジョウバエをモデル動物として,匂い学習や記憶の形成・保持に深く係わると考えられているキノコ体の神経回路構築を明らかにすることを目的とする。これまでに,ショウジョウバエのキノコ体傘部に投射する触角葉出力ニューロン(PN)は,コリンアセチル基転移酵素(ChAT)-抗体,および小胞性アセチルコリントランスポーター(VAChT)-抗体に陽性であること,さらに傘部にはGABA抗体陽性ニューロンが入力していることを明らかにした(平成12年度)。今年度は,これらの結果をもとに,成虫のキノコ体傘部に入力する外来性ニューロンとキノコ体内在ニューロン(ケニオン細胞)とのシナプス結合関係を免疫電顕法を用いて詳細に解析し,次の結果を得た。 1.傘部には,ChAT-およびVAChT-抗体陽性のPNニューロンの大型神経終末部(synaptic boutons)が多数分布し,それぞれの終末部をケニオン細胞の樹状突起が取り囲んで糸球体を形成している。 2.GABA-抗体陽性の軸索は,糸球体を構成するケニオン細胞に直接シナプス結合する場合と,ケニオン細胞に出力しているPNニューロン終末部に対してシナプス前繊維として結合している場合が観察された。 3.これらの観察から,傘部ではケニオン細胞はコリン作動性PNニューロンからの入力を受けるとともに,GABA-抗体陽性ニューロンによりシナプス前抑制的および後抑制的な制御を受けていることが明らかとなった。 来年度は,幼虫から成虫への変態による感覚器官の再構築に伴う傘部神経回路網の改変を免疫電顕法を用いて経時的に解析し,成虫のキノコ体傘部の神経回路構築と比較する。
|
Research Products
(1 results)