2002 Fiscal Year Annual Research Report
アブラムシ類における無性生殖集団の起源と系統関係の解明
Project/Area Number |
12640673
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
秋元 信一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30175161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 英祐 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (40301874)
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Keywords | 単為生殖 / 系統 / ミトコンドリア / アブラムシ |
Research Abstract |
アブラムシ類(昆虫綱:同翅目)は春から秋にかけて無性生殖によって世代を繰り返し、秋に一度だけ有性生殖を行うのが典型的な生活史である。しかし、こうした典型的な生活史から、単為生殖的な生活史が複数回独立して分化したと推測されている。平成14年度は、単為生殖種を含むColopha属に関して、ミトコンドリアのCOI-COII領域の塩基配列を地域個体群間、および近縁種間で比較し、分化の程度を調べた。Colopha kansugeiは完全な単為生殖種で、本州西部から南西諸島、中国南部、ネパール、タイ北部に至る広大な地域に分布している。本種は1次寄主であるニレ科植物の絶滅後、数百万年にわたって単為生殖を繰り返してきたと仮定されている。COI-COII領域の約1200配列を比較したところ、本種は種内で極めて高い分化を示すことが明らかになった。例えば、館山と福岡集団間では8カ所の配列の違いが見いだされた。この値は、種内変異としては特異的に高い。したがって、分子的な証拠によって、長期にわたって単為生殖を続けてきたとする仮説は支持された。 Colopha, Kaltenbachiella, Tetraneura属間の系統関係は、長い間解明されなかった問題である。分子系統を構築したところ、Colopha属が最も早く他から分岐し、KaltenbachiellaとTetraneuraが姉妹群を作ることが明らかになった。この結果は寄主植物の系統と分布の情報に良く合致する。Colopha属は、現在、隔離分布を示すニレグループを寄主としている。これに対してKaltenbachiellaとTetraneuraは比較的最近に分化し、現在、広域連続分布を示すニレグループを寄主としている。分子的な情報によって、形態分析だけでは解明できなかった問題を解決することができた。
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