アワノメイガ種群における性転換型Wolbachia感染の分子系統解析<利己的寄生体と宿主昆虫の歩みを,DNAでたどる>

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12640675
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 星崎 杉彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
• Keywords: Wolbachia / Ostrinia

Research Abstract

アワノメイガ,アズキノメイガ,オナモミノメイガ,フキノメイガの4種類より得た計20以上のサンプルについて,Wolbachia wsp遺伝子の部分塩基配列(約500塩基対)を決定した.それらはまったく同一の配列であり,さらに,ftsZ遺伝子の部分塩基配列(約900塩基対)についても検した試料は互いに同一の配列を示した.これらの結果より,4種のガに感染しているWolbachiaは同一あるいは極めて近縁な系統であることが強く示唆された.このようにwsp遺伝子をもっても区別のできないWolbachia系統が4種もの別種昆虫より見いだされるのは希なケースである.
アワノメイガ,アズキノメイガ,オナモミノメイガ,フキノメイガ,ゴボウノメイガ,未記載種,ヨーロッパアワノメイガ,の7種について,現在までに計150頭以上の試料を得てミトコンドリアCOII遺伝子の塩基配列を決定した.これらの試料の大半についてはWolbachia感染の有無は不明であるが,状況から考えてそれらのほとんどは非感染である可能性が非常に高い.これらの塩基配列をもとに,分子系統樹を作成した.